日時
開催中~2月2日(木)※上映終了
料金
【特別料金】一律¥1,500 /UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも ¥900※サービスデー適用外、各種鑑賞券・招待券使用不可
開催中~2月2日(木)※上映終了
【特別料金】一律¥1,500 /UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも ¥900※サービスデー適用外、各種鑑賞券・招待券使用不可
戦後の暗い時代。それは映画が、大衆のロマンと夢を一身に受けとめていた映画の黄金時代でもあった。戦争はフランスにそれまで隠蔽していた様々な矛盾を突きつけた。ナチスには占領されながら、連合軍として戦勝国になった。フランス社会は引き裂かれていた。
そんな時代にジェラール・フィリップは、彗星のごとく登場し、あらゆる世代、あらゆる階級の国民のハートを鷲掴みにした。陽気なプレイボーイ、体制に叛逆する青年、貧困にあえぐ芸術家、手段を選ばない野心家、退廃した医師……。演じた役柄は、戦後フランスの矛盾そのものだった。しかし1959年、キャリアの絶頂期——36歳の若さでこの世を去る。四ヶ月後、『勝手にしやがれ』が公開される。時代は大きく変わろうとしていた。
生誕100年、没後62年。今、ジェラール・フィリップが、これまでとは違ったヴィジョンのもとに蘇ろうとしている。2020年には評伝「ジェラール・フィリップ 最後の冬」がドゥ・マゴ賞を受賞。第75回カンヌ映画祭では、ドキュメンタリー映画が喝采を浴びた。この12本の映画で彼が体現した社会の不条理が解決されない限り、そして私たちが映画に、この現実とは異なる<リアル>を希求する限り、ジェラール・フィリップは蘇る。
【チケット購入について】
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★2週目(1月20日(金)~1月26日(木))チケット販売
<先行販売>1月17日(火)22:00~販売開始 アップリンク京都会員限定・オンライン販売のみ
<一般販売>1月18日(水)10:00~販売開始 オンライン/劇場窓口販売
★3週目(1月27日(金)~2月2日(木))チケット販売
<先行販売>1月24日(火)22:00~販売開始 アップリンク京都会員限定・オンライン販売のみ
<一般販売>1月25日(水)10:00~販売開始 オンライン/劇場窓口販売
※ご購入後の変更や払い戻しはできません。
※オンラインではクレジット決済のみ、劇場窓口では現金決済のみとなります。
『肉体の悪魔 HDデジタル・リマスター版』(1947年/123分/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/PG12/原題:Le diable au corps/日本初公開:1952年/リマスター版日本初公開)
第一次大戦の最中を舞台に若き人妻と高校生の許されざる恋を描く、戦後フランス映画を代表する傑作。夭逝の作家レーモン・ラディゲの原作を名匠クロード・オータン=ララが叙情味あふれる作品に仕上げた。新進俳優だったジェラールが初の大役を演じ、10代特有の揺れ動く繊細な感情を表現。容姿の美しさだけでなく演技の力量も知らしめた。出演依頼を受けた時、ジェラールは24歳。主人公のフランソワとは7歳の年齢差があり、最初出演することを躊躇したという。ちょうどその時、友人で脚本家のジャック・ミギュールを介して知り合ったニコル・フルカドのアドバイスを受け、共に原作を読み返すうちに、この17歳の主人公の精神を自らの内に見出したジェラールは遂に出演することを決意。そのよき助言者、ニコル・フルカドとは、のちにジェラール・フィリップの妻となるアンヌ・フィリップである。ちなみに本作には映画監督・俳優として知られるジャック・タチも出演している。
【STORY】
1918年11月11日、第一次世界大戦の終結を告げる鐘が高らかに鳴り渡る中、ひっそりと小さな葬列を見送る若者がいた。
1年前、その若者フランソワは高校に隣接した臨時の陸軍病院にボランティアの看護婦として来ていたマルトと出会う。年上のマルトには出征中の婚約者がおり、はじめは年下のフランソワを相手にしなかった。だが、次第に彼の大人びた言動とその反面無邪気な情熱に惹かれ、愛し合うようになる。お互いの家族に反対されながらも、ひそかに愛し続ける二人。やがてマルトの婚約者が戻ってくることになり、“結婚”という言葉の重さに無力を感じたフランソワはマルトの元を離れる。休暇を経て再会した二人だったが、すでにマルトは結婚。そして夫は再び戦線に戻っていた。二人は前にも増して激しく愛し合うようになり、マルトはフランソワの子供を身ごもってしまう……。
監督:クロード・オータン=ララ
出演:ジェラール・フィリップ、ミシュリーヌ・プレール、ジャン・ドビュクール、ドニーズ・グレイ、バロー、ジャック・タチ
原作:レーモン・ラディゲ
『パルムの僧院 2Kデジタル・リマスター版』(1948年/174分/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/原題:La Chartreuse de Parme/日本初公開:1951年(142分バージョン)/2K日本初公開)
聖職者になるため、故郷パルムに戻ってきたファブリスの恋と冒険のスペクタクル・ロマン大作。スタンダール原作の映画化作品。初のアクションにも挑み、ジェラールの代表作となった。戦後初めてイタリアでオール・ロケされた作品でもある。
7月の酷暑のローマ、ジェラールは18メートルもある塔からロープで降りる場面ではスタントマンではなく、自分で降りると言い張った。監督によると1回目のシーンを撮り終え、念のため2回目のシーンを撮った後、初めてジェラールの両手がロープとの摩擦により完全に焼け焦げて血だらけになっていることを知ったという。必要なシーンのために、彼は決して不平を言わず不屈の意志と勇気をもって撮影に臨んでいたのだ。共演は、あでやかなサンセヴェリナ公爵夫人にマリア・カザレス、百合の花のようなクレリアにルネ・フォールが対照的な美しさを見せている。特にマリア・カザレスは、ジェラールと舞台「フェデリーゴ」などで共演しており、俳優としてお互いに尊敬し合う仲だった。
【STORY】
1815年、ナポリでの勉学を終えて故郷パルムに帰郷したファブリス・デル・ドンゴは、叔母のサンセヴェリナ公爵夫人宅に身を寄せる。若々しく溌剌としたファブリスに、育ての親であるサンセヴェリナ公爵夫人は心奪われてしまう。また、国王エルネスト4世が催した夜会でファブリスを一目見た典獄の娘クレリアも彼に心惹かれる。道化役者をあやまって殺してしまったファブリスは城砦に幽閉されてしまう。脱獄をしようと牢獄の窓から外を窺っているうちに、クレリアの存在に気付き、わびしい幽閉生活の中、彼女と心を通わせることで生きる希望を見つけるファブリス。サンセヴェリナ公爵夫人は反王党派の助けを借り、ファブリスを脱獄させるが、この一件でクレリアの父は罷面され、クレリアは父の言いなりとなりクレサンジ侯爵との結婚に承知する。クレリアの結婚を知り、パルムへと戻ったファブリスは再び捕らえられてしまう……。
監督・脚本:クリスチャン・ジャック
出演:ジェラール・フィリップ、マリア・カザレス、ルイ・サルー、ルネ・フォール
原作:スタンダール
『美しき小さな浜辺 2Kデジタル・リマスター版』(1948年/91分/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/PG12/原題:Une Si Jolie Petite Plage/日本初公開:1999年/2K日本初公開)
雨の降り続く海辺の町で、過去を見つめる謎の青年の姿を描くミステリードラマの名作。ジェラールは運命に翻弄され、苦悩する青年を演じた。撮影はウィリアム・ワイラー監督『ローマの休日』(1953)、ヴィム・ヴェンダース『ベルリン・天使の詩』(1987)のアンリ・アルカン。イヴ・アレグレ監督、ジャック・シギュール脚本による本作は、同じコンビの『デデという娼婦』(1947)などの流れを汲み、当時世界的に流行していた“絶望”を描いたペシミスティックな作品に仕上がっている。ジェラールにとっては、友人シギュールとの初仕事とあってか、プロデューサーを説得し映画化を承諾させたり、製作資金を自ら集めたり奔走したという。また、雨が始終降っている設定のため、強い風に吹かれて雨でびしょ濡れになりながらも、彼は長いリハーサルを耐え、皆を励まし常に上機嫌な態度で撮影に臨んだという。この撮影2ヶ月後には同じシギュール脚本の、打って変わって明るくスラップスティックな作品『すべての道はローマへ』の撮影に入っていたというから、当時のジェラールがいかに俳優として上り坂で精力的に活躍していたかがわかる。
【STORY】
シーズンオフの海岸のさびれたホテルに、ある夜ひとりの陰のある青年ピエールが宿泊に来る。ホテルにはわずかな客と、孤児院育ちの女中マルトと少年が働いていた。無口なピエールにマルトは興味をもち、次第に心を通わせていく。また、ホテルの女性客と親しくなっていく少年が気掛かりなピエールは、何かと彼に話しかけようとする。ある時、ある女性歌手のレコードをかけたホテルの女主人にピエールは激しい拒絶反応を見せた。その一件からマルトは、ピエールが以前、このホテルで従業員として働いていたことを知る。その時に知り合った女性歌手を愛するようになったピエールは、もてあそばれたことに激怒し彼女を殺してしまったのだという。ピエールを愛するようになったマルトは仲間に頼んでピエールの逃亡を助けようとするが……。
監督:イヴ・アレグレ
出演:ジェラール・フィリップ、ジャン・セルヴェ、マドレーヌ・ロバンソン、ジャーヌ・マルカン
『ジュリエット あるいは夢の鍵/愛人ジュリエット 4Kデジタル・リマスター版』※当館は2K上映(1951年/106分/93分/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/原題:Juliette ou La clef des songes/日本初公開:1952年/4K日本初公開)
恋ゆえ罪を犯した青年ミシェル。獄中、夢の中でも恋人を探す彼がたどり着いたのは、誰も記憶を持たない“忘却の村”だった——。『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネが、夢と現実の間に彷徨う青年の苦悩を見事に描いたファンタジックな恋物語。『天井桟敷の人々』の名匠マルセル・カルネが1942年より温めていた企画で、全編夢とも現実ともつかない不思議な雰囲気をたたえている。当初予定されていたのは台詞にジャン・コクトー、主演にジャン・マレーとミシュリーヌ・プレールだった。1950年の製作の時点でマルセル・カルネは主演をジェラールに決めたが、注目していたレスリー・キャロン(『巴里のアメリカ人』)をMGMにとられてしまう。撮影は『美女と野獣』『ローマの休日』など数々の名作を手掛けたアンリ・アルカン。美術は幻想的なブローニュの森をスタジオに完璧に再現したアレクサンドル・トローネル(『天井桟敷の人々』『アパートの鍵貸します』)、そして音楽は「枯葉」などジャンソン、映画音楽を数多く手掛けたジョゼフ・コスマで、テーマ曲「失われた恋」は1951年カンヌ国際映画祭で音楽賞を受賞した。
【STORY】
恋人ジュリエットのために店の金を盗んだ若者ミシェルは刑務所に入れられてしまう。牢獄の中でジュリエットを想ううちにミシェルはいつの間にか陽光がさんさんと降り注ぐ村へとたどり着く。そこは誰もが思い出を持たない“忘却の村”。村をさまよい歩くうちに、ミシェルはジュリエットが村の領主“青ひげ”の城に幽閉されていることを知る。やっとのことでジュリエットに再会することができたが、ジュリエットは村の人々と同じようにミシェルとの思い出を失っていた。何とかジュリエットの記憶を呼び覚まそうとするミシェル。“青ひげ”に再び捕らえられたジュリエットを迎えに城を襲撃したミシェルが目にしたのは、“青ひげ”の花嫁として純白の結婚衣装に身を包んだジュリエットだった……。
監督・脚本:マルセル・カルネ
出演:ジェラール・フィリップ, シュザンヌ・クルーティエ、イヴ・ロベール
『花咲ける騎士道 4Kデジタル・リマスター版』※当館は2K上映(1952年/100分/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/原題:Fanfan la Tulipe/日本初公開:1953年/4K日本初公開)
1952年第5回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作。
青年ファンファンは「王女と結婚する」という占いを信じ、軍隊に入隊。恋と冒険の日々が始まる。フランスの民謡「ファンファン・ラ・チューリップ」に脚本のルネ・ウェレとルネ・ファレがロマンスやアクションを入れ、ジェラールが大活躍する冒険活劇。
ジェラールが “影のある2枚目”から“陽気でやんちゃ”なジェラールの一面を存分に開花させた作品で、“ファンファン”という愛称で世界中から愛されたきっかけとなった。
実際のジェラールは乗馬も剣も苦手だったという。またちょうどこの作品の撮影の直前にT.N.Pの「ル・シッド」のリハーサル中に舞台から飛び降り、万全な体調でなかったのも信じられないくらいジェラール扮するファンファンは溌剌と演技している。ロケ地のグラース地方は、ジェラールがまさに子供時代を過ごした場所。本作でのジェラールは危険な決闘シーンをこなしつつも、スタッフと一緒に悪ふざけに興じるなど、少年時代に戻ったかのような楽しいひとときを過ごした。ヒロインは『夜ごとの美女』でも共演したジーナ・ロロブリジーダ。第75回カンヌ国際映画祭では、ジェラール・フィリップの生誕100年を記念して本作の4K版が、『ジェラール・フィリップ 最後の冬』と合わせて上映された。
【STORY】
18世紀のフランス、アキテーヌ地方。美しいジプシー娘に扮したアドリーヌにのせられ、田舎の野心あふれる若者ファンファンは軍隊に入隊。アドリーヌより告げられた運命の恋と名誉を得ようと俄然はりきる。ある日、襲撃されそうになった王女の危機を救ったファンファンは王女のことが忘れられず、友人の“腕自慢”と共にお城に入り込み、捕らえられてしまう。すっかりファンファンに恋してしまったアンドリーヌは国王に掛け合い二人を助けるが、国王の執拗な誘いに修道院へと逃れる。彼女を助けようとしたファンファンが入り込んだ地下道は、何と敵軍オーストリアの司令部へと通じる秘密の通路だった……。果たしてファンファンとアンドリーヌの運命は……!
監督:クリスチャン・ジャック
出演:ジェラール・フィリップ、ジーナ・ロロブリジーダ、ノエル・ロックウェル、ジュヌヴィエーヴ・パージュ
『狂熱の孤独 2Kデジタル・リマスター版』(1953年/104分/フランス・メキシコ/モノクロ/スタンダード/モノラル/原題:Les Orgueilleux/日本初公開:1954年/2K日本初公開)
1953年ヴェネツィア国際映画祭優秀作品賞受賞
メキシコのある村を舞台に、酒浸りの元医者ジョルジュと未亡人ネリー、それぞれの絶望と孤独、そして再生を描く。ジャン=ポール・サルトル原作「チフス」を元に、ジャン・オーランシュがメキシコを舞台に書き下ろした作品。舞台が仏領インドシナからメキシコへ、病気もチフスから脳脊椎膜炎などへ大幅に変更になった。監督は『夢の箱』『美しき小さな浜辺』『男の世界』でジェラールとはデビュー時から付き合いのあるイヴ・アレグレ。共演は『夜の騎士道』で再び共演することになるミシェル・モルガン。ロケ地メキシコでの撮影は時に75度の熱気の中で続けられた。特にミシェル・モルガンは炎天下の中、熱したジープに乗るシーンなどじっと耐えていたという。ジェラールは撮影のない週末はチャーター機で妻のアンヌとともにメキシコ各地を見て回ったという。
【STORY】
メキシコのひなびた漁村で酒浸りの生活を送る元医師ジョルジュ。フランス人の旅行者ネリーは夫を伝染病で失い、見知らぬ土地で途方に暮れる。同じフランス人のネリーをぶっきらぼうに慰め、何かと世話を焼くジョルジュ。夫の財布が盗まれたためフランスからの送金を待つしかないネリーは、宿屋の主人ロドリーゴに執拗に言い寄られ、住民の好奇の目にさらされながらも、耐えなければならなかった。伝染病がますます蔓延していく中、ジョルジュはワクチンも打たずに、かいがいしく患者の世話をする。彼が自暴自棄な生活を送るのも、また自分のことを顧みず患者の世話をするのも、全ては妻を誤って死なせてしまったことが原因であることを知り、ネリーは次第にジョルジュの人間性に惹かれていくのであった……。
監督・脚色:イヴ・アレグレ
出演:ジェラール・フィリップ、ミシェル・モルガン、ヴィクトル・マヌエル・メンドーサ、ミシェール・コルドゥー、カルロス・ロペス・モクステマ
『しのび逢い ムッシュ・リポアの恋愛修業 HDデジタル・リマスター版』(1954年/105分/フランス・イギリス/モノクロ/スタンダード/モノラル/原題:Monsieur Ripois/日本公開:1954年/リマスター版 日本初公開)
1953年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞
女性とみると口説かずにはいられないジゴロのリポア氏。『禁じられた遊び』や『太陽がいっぱい』の巨匠ルネ・クレマンがロンドンを舞台に撮ったシニカルなラブ・コメディ。1953年カンヌ映画祭審査員特別賞を受賞。共演は『大いなる遺産』『情炎』のヴァレリー・ボブソン、『舞姫夫人』のナターシャ・パリーなどイギリスのスター女優。その他、フランス人のシャンソン歌手、ジェルメーヌ・モンテロが気のいい娼婦マルセル役で出演。
この作品でジェラールは、富と名声を夢見ながらも、現実には次々に女性をたらし込みながら日々を刹那的に生きる現代の“ドン・ファン”の哀しみを絶妙に演じている。『赤い風車』の名カメラマン、オズワルド・モリスによって隠し撮りされた当時のロンドンの雑踏が、異国を一人さまよう主人公リポア氏の孤独感を際立たせて印象的。
【STORY】
妻キャサリンの不在にかこつけ、妻の友人パトリシアを自宅に呼び言い寄るリポア氏。頑ななパトリシアの気を引こうと、今までの恋愛遍歴を告白し始める……。職場の上司のアンと暮らし始めるが、家でもこき使われるのに閉口したリポア氏は、次に街で出会った純情なノラとつき合い始める。しかし、結婚を迫られ逃げ出す。街を彷徨っていたところ、気のいい娼婦マルセルに拾われ、彼女のヒモとなる。だがそこにもいたたまれず、フランス語教師の看板を掲げたところ、資産家の娘キャサリンがフランス語を習いに現れ、彼女の気を引くことに成功。まんまと結婚する。そして自分たちの結婚式に出席していたパトリシアを式当日に見初め、それ以来忘れられないと締め括る。
監督:ルネ・クレマン
出演:ジェラール・フィリップ、ヴァレリー・ホブスン、ナターシャ・パリー、マーガレット・ジョンストン、ジョーン・グリーンウッド、ジェルメーヌ・モンテロ
原作:ルイ・エモン
『赤と黒 2Kデジタル・リマスター版』(1954年/フランス/193分/カラー/スタンダード/モノラル/原題:Le Rouge et le Noir/日本初公開:1954年/2K日本初公開)
野心を抱くジュリアン・ソレルは自分の魅力を武器に、愛さえ手段にして貴族階級へ転身を図ろうとするが…。『パルムの僧院』に続く2度目のスタンダール作品の映画化で、ジェラールにとって2本目のカラー作品。3時間超の大作にも関わらず、主人公ジュルアン・ソレルを演じたジェラールは国内外で大絶賛された。監督のオータン=ララはすでに『肉体の悪魔』の後、ジェラールで『赤と黒』を撮ることを夢見ていた。しかしジェラールは「立て続けに2本、スタンダールはやらない」と心に決めており、オータン=ララは7年の歳月を待つことになった。出演依頼を受けて、ジェラールは『肉体の悪魔』のときと同じくまたもや主人公の年齢の差を懸念した。また、世界の文学史上に燦然と輝く主人公を演じることに対しても重大な責任を感じていたという。
【STORY】
1820年代、ナポレオン失脚後の小都市ヴェリエール。大工の息子ジュリアン・ソレルは仕事よりラテン語を得意とする学問好きな青年であった。彼の才能を認めたシェラン司祭により、町長であるレナル家の家庭教師となる。やがて美しいレナル夫人と愛し合うようになるが、スキャンダルの発覚をおそれて、ジュリアンは神学校に進む。そこでもピラール司教の信頼を得て、ジュリアンはパリのラモール侯爵の秘書となる。野心に燃え魅了的なジュリアンは、気位の高い侯爵令嬢のマチルドと愛し合うようになり、侯爵に結婚を許される。幸福の絶頂にいるジュリアンのもとに、レナル夫人が彼との過去の関係を告白した手紙を侯爵に届ける。突然、絶望の底に突き落とされたジュリアンはピストルを持って、レナル夫人が通う教会へと向かうのだった……。
監督:クロード・オータン=ララ
出演:ジェラール・フィリップ、ダニエル・ダリュー、アントネラ・ルアルディ
原作:スタンダール
『夜の騎士道 4Kデジタル・リマスター版』※当館は2K上映(1955年/104分/カラー/スタンダード/5.1ch/原題:Les grandes manoeuvres/日本初公開:1956年/4K日本初公開)
『悪魔の美しさ』『夜ごとの美女』に続き、ジェラールがルネ・クレールと組んだ、快作ロマンティック・コメディ。本作でジェラールは、フランスの典型的なドン・ファンのイメージを見事に体現している。ルネ・クレールにとって初のカラー作品でもある。この作品のエンディングはルネ・クレールが最後まで最も頭を痛めたものだった。そこで彼は2つのヴァージョン、つまり今のエンディングともう一つ悲劇的なエンディングを撮影し、親しい友人たちに観せたところ、ジャン・コクトーなど大多数が“暗い”ヴァージョンを熱烈に支持した。しかし結局ルネ・クレールは観客が自由に解釈できる余地を残した今のエンディングを採用した。
【STORY】
ある田舎町に騎兵隊の一行が到着した。隊一番の美男子アルマン中尉は仲間たちを前に、「くじで選んだ女性を駐屯中の1ヶ月の間に恋人にする」と宣言する。アルマンは美貌のパリジェンヌ、マリー=ルイーズを賭けの対象に、早速いつも通り迫るが、マリー=ルイーズは警戒心から冷たくあしらう。しかし、町の名士ヴィクトルから求婚され迷っていたマリー=ルイーズは、次第にアルマンを愛するようになる。アルマンも、自分の魅力に簡単になびかないマリー=ルイーズの毅然とした態度に、本気で彼女を愛するようになる。しかし、マリー=ルイーズを諦められないヴィクトルは、彼女にアルマンと仲間たちの賭けの話を告げ口する。ショックを受けた彼女はアルマンに別れを告げる。アルマンはせめて大演習に出発する朝、自分を許してくれるならば、窓から見送ってくれるように頼むのだが・・・・・。
監督・脚本:ルネ・クレール
出演:ジェラール・フィリップ、ミシェル・モルガン、ブリジット・バルドー
『モンパルナスの灯 HDデジタル・リマスター版』(フランス/1958年/108分/モノクロ/ビスタ/モノラル/原題:Les amants de Montparnasse (Montparnasse 19)/日本初公開:1958年)
第一次世界大戦後のモンパルナス。天才画家モディリアーニは、芸術家としての高い自負心を持ちながらも、世間の無理解と病魔に苦しんでいた…。実在の画家モディリアーニの生涯を、ジャック・ベッケルが映画化。 元々はマックス・オフュルスが監督し、イヴ・モンタンが主役のモディリアーニを演じるはずだったこの作品は、1957年にオフュルス監督が亡くなったため、急遽ジャック・ベッケルがメガホンを取ることになった。そしてモンタンの代わりに主役をつとめたジェラールも、モディリアーニと同じ36歳で1年後に世を去ることになったいわくつきの作品である。
実在の画家アメディオ・モディリアーニ(1884-1920)の生涯を演じることになったジェラールは、衣装のジョルジュ・アネンコフにパレットと絵筆を持ってポーズをとらせたり、モディリアーニの周囲にいた画家や彫刻家などについて質問をし、第一次大戦後のモンパルナスの息吹を映画に吹き込もうとした。優しく献身的な妻ジャンヌ役に、近年でも『男と女 人生最良の日々』(2019)に出演し活躍を続けるアヌーク・エーメ。そして冷徹な画商に個性派のリノ・ヴァンチュラが扮している。
【STORY】
第一次世界大戦後のモンパルナス、そこは芸術家の卵たちが明日を夢見て集う場所。イタリア人のモディリアーニは、ジャーナリストのベアトリスや友人のズボロスキーに支えられながらも、世間の無理解に自暴自棄となり、貧困とアルコール中毒と結核に苦しんでいた。
ある日、美術学校の授業でモディリアーニは、美しい画学生ジャンヌと出会う。お互いに惹かれ合う二人。モディリアーニは結核の療養で来ていたニースへ向かう。ジャンヌは両親の猛反対を押し切り、モディリアーニと一緒に暮らし始める。ジャンヌの温かい愛情と励ましにより、再びモディリアーニは前向きに人生と芸術に取り組もうとするが、彼の人生最後の日々はすぐそこに近づいていた……。
監督:ジャック・ベッケル
出演:ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラ、リリー・パルマー
原作:ミシェル・ジョルジュ=ミシェル
『危険な関係 4Kデジタル・リマスター版』※当館は2K上映(1959年/105分/モノクロ/ビスタ/5.1ch/原題:Les liaisons dangereuses/日本公開:1961年)
鬼才ロジェ・ヴァディムがコデルロス・ド・ラクロによる1782年の同名原作を基に、舞台を現代のパリに移し、ヴァルモン子爵とメルトゥイユ侯爵夫人を外交官夫妻に置き換えた野心作。セロニアス・モンク、そしてアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズらの奏でるモダン・ジャズナンバーも一層作品を盛り立てている。公開当時、性道徳に反した内容と当時としては過激なベッド・シーンで激しい論争を巻き起こし、 本国フランスでも上映禁止処分を受けたいわくつきの作品で、外国輸出禁止令がしかれていたが、日本が最初の輸出国となった。
よこしまな快楽にひたりながらも瞬間的な真実を求めて生きたヴァルモンという、この複雑な心理を持つ現代の“ドン・ファン”には、ジェラールにまさる適役はいなかった。ジュリエット役にジャンヌ・モロー。リリー・パルマーやミシュリーヌ・プレールの名が挙がる中、ジャンヌ・モローは「ジュリエット役は自分しかいない」と目していたという。貞淑な人妻マリアンヌには、当時ヴァディムの2番目の妻だったアネット・ヴァディム。配役が難航していたときに、その北欧的な美しさから急遽抜擢された。また、奔放な現代っ子セシルに新人のジャンヌ・ヴァレリー。作家・ミュージシャンのボリス・ヴィアンが、ヴァルモンの友人役として出演している。奇しくも1959年6月23日に『墓にツバをかけろ』の試写中、ボリス・ヴィアンが心臓発作で、そして『危険な関係』公開中の11月25日にジェラール・フィリップが肝臓癌で、相次いで世を去ることになる。
【STORY】
外交官夫妻のヴァルモンとジュリエットは、パリの社交界でも目立つ存在だ。しかし、実際の二人は、お互いの情事の成果を報告し合う夫婦関係を続けていた。ジュリエットは、愛人だったアメリカ人のコートが18歳のセシルと婚約したことを知り、嫉妬心からヴァルモンにセシルを誘惑するよう持ちかける。セシルを追って冬のメジェーヴまで来たヴァルモンは、そこで貞淑な人妻マリアンヌと出会い、本気になってしまう。
監督:ロジェ・ヴァディム
出演:ジャンヌ・モロー、ジェラール・フィリップ、アネット・ヴァディム、ジャンヌ・ヴァレリー、ジャン=ルイ・トランティニャン
原作:コデルロス・ド・ラクロ
『ジェラール・フィリップ 最後の冬』(2022年/66分/パートカラー/ステレオ/ビスタ/原題:Gérard Philipe,le dernier hiver du Cid/英題:Gérard Philipe, the last winter/日本初公開)
第75回カンヌ国際映画祭 クラシック部門正式出品作品
ジェラール・フィリップの生い立ちから、その人生の軌跡を描く最新ドキュメンタリー。出演映画のメイキングや貴重な舞台の映像、家族とのプライヴェートフィルムなど未公開の秘蔵映像を最新技術でレストア、ジェラール・フィリップの知られざる真実を描く。 ハリウッドからの高額なオファーを断り、お金に困っていた旧友の演劇に出演していたこと。1944年8月のパリ解放の時にはパリ市庁舎の奪回にも協力するなど、戦時中に対ナチ・レジスタンス運動へ参加していたこと。戦後には、コミュニストとして熱心に活動するなど、妻のアンヌにも背中を押され自分の名声を正義と平和と理想のために捧げたこと。1959年の夏、病に倒れてからも、復帰に向けて野心的に舞台の企画を立てていたこと……これまであまり明かされることのなかった「人間」ジェラール・フィリップの姿に、誰もがさらに魅了される違いない。
2020年にフランスの文学賞、ドゥ・マゴ賞を受賞したジェローム・ガルサン著「ジェラール・フィリップ 最後の冬」を元に、生誕100周年を記念して製作された。監督は「マリリン・モンロー 最後の告白」(2008)をはじめ、ロミー・シュナイダーやジェーン・マンスフィールド、ロバート・F・ケネディやシャルル・ド・ゴールなど実在の著名人を題材にしたドキュメンタリーを数多く手がけ、その手腕が国際的に評価されているパトリック・ジュディ。第75回カンヌ国際映画祭クラシック部門でプレミア上映された。本編吹替ナレーションは、本木雅弘さん。
原作:「ジェラール・フィリップ 最後の冬」(中央公論新社 ジェローム・ガルサン著 深田孝太朗 訳)
監督:パトリック・ジュディ
出演:ジェラール・フィリップ
全編吹替ナレーション:本木雅弘
『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』
配給:セテラインターナショナル