© 1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán/2K restoration and digitization with the support of the CNC (French National Centre of Cinema)
日時
上映中~終映日未定
© 1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán/2K restoration and digitization with the support of the CNC (French National Centre of Cinema)
上映中~終映日未定
『チリの闘い』は、サルバドール・アジェンデ政権が軍事クーデターに倒れるまでの最後の数ヶ月を、当時の現場で撮影し続けた映像記録である。国会内の応酬からストライキとデモ、銃声とともに倒れるジャーナリスト、空爆で崩れ落ちる大統領府までを捉えた、3部作構成となっている。
本作は、カンヌ国際映画祭(監督週間)やベルリン国際映画祭(フォーラム部門)、ハバナ映画祭をはじめとする世界の主要映画祭で絶賛されたうえ、Time Out誌によって「映画史上もっとも偉大なドキュメンタリーの一つ」と称され、政治ドキュメンタリーの金字塔として語り継がれている。
このたび公開する2Kレストア版は、オリジナル素材から5年の歳月をかけて修復されたもの。1973年のチリを揺るがした真実が、鮮やかな映像と音声と共に蘇る。
1973年3月におこなわれた議会選挙における左派(人民連合)の予期せぬ勝利に続く、右派による攻勢の激化を検証する。議会制民主主義がアジェンデの社会主義政策を阻止できないことを思い知った右派は、その戦略を国民投票から街頭闘争へと転換する。この第一部は、右派が政府を弱体化して危機的状況を引き起こすために、デモやストライキの扇動から暴動、そしてテロへとその暴力的戦術をさまざまに駆使する様子、そしてついには軍部がクーデター未遂事件を引き起こすまでの数か月間を追う。
第二部は、第一部の終盤に登場した1973年6月29日のクーデター未遂事件で幕を開ける。この「クーデター未遂」は、軍にとって有益な予行演習となったことは明らかであり、「本番」がおこなわれるのは時間の問題だと誰もが認識しはじめた。左派は戦略をめぐって分裂し、一方右派は着々と軍による権力掌握の準備を進める。最終的に73年9月11日の朝にクーデターが実行に移され、大統領府は軍による爆撃を受け破壊される。アジェンデはラジオを通じてチリ国民に向け演説をした後、自殺と思われる死を遂げる。同じ日の夜、アウグスト・ピノチェトを議長とする軍事評議会のメンバーがテレビ出演し、新たな軍事政権の発足を宣する。
平凡な労働者や農民が協力し合い、”民衆の力”と総称される無数の地域別グループを組織してゆく姿を追う。彼らは食糧を配給し、工場や農地を占拠・運営・警備し、暴利をむさぼる闇市場に対抗し、近隣の社会奉仕団体と連携する。こうした活動は、まず反アジェンデ派の工場経営者や小売店主や職業団体によるストライキへの対抗手段として始められたものだった。やがて”民衆の力”は、右派に対し決然たる態度で臨むことを政府に要求する、ソビエト型の社会主義的組織体へと徐々に変質してゆく。

『チリの闘い:武器なき民の抵抗』 LA BATALLA DE CHILE La Lucha de un Pueblo sin Armas/The battle of Chile
(1975、1976、1978年/チリ・フランス・キューバ/フランス語・スペイン語/276分/5.1ch/1:1.85)
製作・監督・脚本:パトリシオ・グスマン
支援:クリス・マルケル、キューバ映画芸術産業庁、マッカーサー基金
日本語字幕:比嘉世津子
配給・宣伝:アップリンク