ロシア最高の伝説的イコン画家アンドレイ・ルブリョフ(14世紀後半から15世紀前半)の生涯を描き、同時に当時のロシア社会をあぶりだす。10のエピソードにより、時代と人間、社会と民衆を重層的に積み上げて映画を構成し、歴史の真実に迫った意欲作。ロケ地となったウラジーミル、スズタリ、ノヴゴロドなどの古都も美しく印象的である。

時は15世紀初頭。モスクワのアンドロニコフ修道院で、信仰と絵画の修業を積んだアンドレイたち僧侶は、降りしきる雨の田舎道を急いでいた。彼らは道中、旅芸人が権力を風刺して捕えられるのを目撃した。圧制に苦しむ民衆を目の当たりにしてアンドレイの苦悩は深まる。

『アンドレイ・ルブリョフ』Andrei Rublyov
(1967年/ソビエト/182分/モノクロ・カラー)
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:アナトリー・ソロニーツィン、イワン・ラピコフ、ニコライ・グリニコ、ニコライ・セルゲニフ、ニコライ・ブルーリャーエフ、イルマ・ラウシュ
脚本:アンドレイ・タルコフスキー、アンドレイ・コンチャロフスキー

1932年4月4日、旧ソ連ヴォルガ川流域のイワノヴォ地区、ユリエヴェツの近郊ザヴラジェ生まれ。父は詩人として著名なアルセーニイ・タルコフスキー。幼くして両親が別れ、以後、母親に育てられる。
1962年、長編映画第一作『僕の村は戦場だった』を監督。ヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞を受賞。1967年にはロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』のシナリオを完成させるが、歴史解釈をめぐってソ連当局の激しい批判を受け、5年間上映を禁止される。一方で同作品は1969年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。ソ連では1971年12月にモスクワで公開された。その後も『惑星ソラリス』(1972)、『鏡』(1975)、『ストーカー』(1979)と映画史に傑出する作品を世に送り出し、世界的な評価を確立。しかしソ連国内の厳しい検閲は依然としてあり、はじめてソ連国外で製作された長篇第6作が『ノスタルジア』(1983)である。翌年完成し、カンヌ国際映画祭に出品されると特設された「この映画の創造に対する特別大賞」など受賞。ロンドンでオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」を演出した後、1984年、事実上の亡命を宣言。1986年にスウェーデンとフランスの合作映画『サクリファイス』が完成。カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニック賞、芸術特別貢献賞を受賞。同年12月29日、肺がんのためパリにて死去した。享年54歳。葬儀はパリの聖アレクサンドル・ネフスキー寺院で執り行われた。
Filmography
1960 『ローラーとバイオリン』 Katok i skripka
1962 『僕の村は戦場だった』 Ivanovo detstvo
1967 『アンドレイ・ルブリョフ』 Andrey Rublev
1972 『惑星ソラリス』 Solyaris
1975 『鏡』 Zerkalo
1979 『ストーカー』 Stalker
1983 『ノスタルジア』 Nostalghia
1986 『サクリファイス』 Offret