ウラジミール・ボゴモーロフの短篇小説“イワン”を、彼自身とミハイル・パパワが脚色した戦争詩。タルコフスキーの長編第一回監督作品。
幼い者のこころをゆがめる戦争。激しい戦闘シーンと、少年の心に時折よみがえる平和な日々の対比の中で、戦争の悲惨さと虚しさが浮かびあがる傑作である。

第二次世界大戦下のソビエト。カッコーの鳴く美しい村で、明るい陽光と戯れる12才の少年イワンはママから水をもらう。と、そこに銃声が響く。イワンは両親と妹をドイツ軍に殺され、一人ぼっちになってしまった。まだ、あどけなさの残る彼は、学校に通わせたいとの周囲の大人たちの思いをよそに、復讐心に燃えてパルチザンに協力し、危険をおかして敵の占領地域への偵察活動に従事するが…。

『僕の村は戦場だった デジタルリマスター版』Ivan’s Childhood
(1962年/ソビエト/94分/モノクロ)
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:コーリャ・ブルリャーエフ、バレンティン・ズブコフ、E・ジャリコフ、S・クルイロフ、他
原作:ミハイル・パパワ『イワン』
脚本:ウラジミール・ボゴモーロフ、ミハイル・パパワ

1932年4月4日、旧ソ連ヴォルガ川流域のイワノヴォ地区、ユリエヴェツの近郊ザヴラジェ生まれ。父は詩人として著名なアルセーニイ・タルコフスキー。幼くして両親が別れ、以後、母親に育てられる。
1962年、長編映画第一作『僕の村は戦場だった』を監督。ヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞を受賞。1967年にはロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』のシナリオを完成させるが、歴史解釈をめぐってソ連当局の激しい批判を受け、5年間上映を禁止される。一方で同作品は1969年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。ソ連では1971年12月にモスクワで公開された。その後も『惑星ソラリス』(1972)、『鏡』(1975)、『ストーカー』(1979)と映画史に傑出する作品を世に送り出し、世界的な評価を確立。しかしソ連国内の厳しい検閲は依然としてあり、はじめてソ連国外で製作された長篇第6作が『ノスタルジア』(1983)である。翌年完成し、カンヌ国際映画祭に出品されると特設された「この映画の創造に対する特別大賞」など受賞。ロンドンでオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」を演出した後、1984年、事実上の亡命を宣言。1986年にスウェーデンとフランスの合作映画『サクリファイス』が完成。カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニック賞、芸術特別貢献賞を受賞。同年12月29日、肺がんのためパリにて死去した。享年54歳。葬儀はパリの聖アレクサンドル・ネフスキー寺院で執り行われた。
Filmography
1960 『ローラーとバイオリン』 Katok i skripka
1962 『僕の村は戦場だった』 Ivanovo detstvo
1967 『アンドレイ・ルブリョフ』 Andrey Rublev
1972 『惑星ソラリス』 Solyaris
1975 『鏡』 Zerkalo
1979 『ストーカー』 Stalker
1983 『ノスタルジア』 Nostalghia
1986 『サクリファイス』 Offret