
©KADOKAWA 1962
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家族の死、出生の秘密・・・。暗い宿命を背負う非業の剣客・高倉信吾(雷蔵)の流転の人生を描く一作。梅一輪を右手にかざし、斬るでなく舞うでなく、のどをかき切る一雷蔵と鬼才・三隅研次監督は本作で殺陣の新境地を開拓。2人が目指した時代劇の新しい魅力が画面いっぱいに広がる傑作。
『斬る』4Kデジタル修復版※当館は2K上映
(1962年/カラー/71分)
監督:三隈研次
共演:藤村志保、渚まゆみ、万里昌代、成田純一郎、天知茂
原作:柴田錬三郎
脚本:新藤兼人
撮影:本多省三
美術:内藤昭
音楽:斎藤一郎
『羅生門』ほか日本の時代劇映画を世界に送り出した大映京都の高い技術力。日本文学の人気作・話題作を映画化し、数々の名作を生み出した大映東京の企画力とセンス。そして雷蔵の歌舞伎役者としての素養に裏打ちされた豊かな表現力と、幅広い役柄をリアルに具現化する高い演技力。37歳で世を去った市川雷蔵が15年間の映画俳優人生で残した約160本の映画は、プロフェッショナルたちが腕によりをかけて創り上げた“極上の夢”です。
監督、撮影、脚本、音楽、照明、編集、セットに衣装と、ここには書ききれない各分野のプロが高い技術力と洗練されたセンスを存分に発揮し残した珠玉の「雷蔵映画」、心ゆくまでお楽しみください。
1931年8月29日、京都生まれ。生後間もなく市川九団次の養子となり、1946年に大阪歌舞伎座で市川莚蔵として初舞台を踏む。1951年市川寿海の養子となり、同年6月大阪歌舞伎座「白波五人男」で襲名披露、市川雷蔵を名乗る。
1954年に大映入社、『花の白虎隊』で映画デビュー。時代劇から現代劇まで、多様な役柄をリアルに具現化する高い演技力と品格ある佇まい、美しい殺陣で一世を風靡。数多の映画賞を受賞し、映画スターとして確固たる地位を築いた。
自身主宰の劇団による公演を企画するなどさらに活躍の場を広げようとしつつあったが、1969年7月17日、病により逝去。享年37歲。
没後も「眠狂四郎」シリーズをはじめとした時代劇、『炎上』、『破戒』等の文芸作で多くのファンを魅了。90年代以降も定期的に国内で特集上映が実施されている。
2024年春にはMoMA(ニューヨーク)で『剣』3部作が上映、シネマテーク・フランセーズ(パリ)での三隅研次監督特集でも雷蔵出演作が多数上映される等、海外での評価もより高まっている。
【市川雷蔵映画祭 刹那のきらめき】
配給:KADOKAWA