優柔不断で、内向的で、自意識過剰な男たち。
奔放で、意地っぱりで、あっけらかんとした女たち。
パリの街角で、南仏のリゾートで、湖畔の避暑地で、
男と女はすれ違い、恋をする。
滑稽であるがゆえに貴く、凡庸であると同時に美しい、男と女の恋模様。のちに、80年代の〈喜劇と格言劇〉シリーズ、90年代の〈四季の物語〉シリーズへと成熟してゆく巨匠エリック・ロメールが、構想10年をかけ、いちばん最初に作りあげた連作が本特集〈六つの教訓話〉です。ふたりの魅力的な女性のあいだで翻弄されながら、運命の愛を求め、ひとりよがりの夢想と葛藤に思い悩む男たちの可笑しさが、6作品揃いました。
さらに〈六つの教訓話〉シリーズに加え、本特集では、「カイエ・デュ・シネマ」誌に映画批評を寄稿しはじめた頃の若きロメールが、ゴダール、シャブロルらと共に撮った才気あふれる短編6作品も上映いたします。
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Eプログラム
『愛の昼下がり』<六つの教訓>シリーズ第六話
(1972年/フランス/スタンダード/カラー/98分/L’Amour l’après-midi)
パリに事務所を持つフレデリックは妊娠中の妻と娘と 郊外で暮らす。生活に不満があるわけではないが、どこか満たされない日々。そんなとき友人の元恋人クロエと偶然再会、その日からクロエはフレデリックの元を頻繁に訪れるようになり、彼もまたクロエの魅力に抗えず彼女との関係を夢想する。はじめて既婚男性が主人公のシリーズ最終作。過去作6人のヒロインたちがフレデリックの白昼夢に特別出演している。
撮影:ネストール・アルメンドロス
出演:ベルナール・ヴェルレー、ズズ、フランスワーズ・ヴェルレー
『ヴェロニクと怠慢な生徒』【劇場初公開!ロメール初期の短篇集3】
(1958年/フランス/スタンダード/モノクロ/19分)
家庭教師のヴェロニクが、生意気でイタズラ好きの腕白少年に勉強を教える数時間の出来事を、ホームコメディのような軽やかさで、ユーモラスに描いたロメール初の35mm作品。当初ロメールとゴダールの共作で「シャルロットとヴェロニクの冒険」と称する喜劇シリーズを構想していたが、第一弾『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』の脚本をゴダールが無断で改変したことで仲違いし、企画は頓挫。その後撮られた唯一の作品が本作。
出演:ニコール・ベルジェ、ステラ・ダサス、アラン・デルリュー
撮影:シャルル・ビッチ
agnes b. x UPLINK京都
J’amie le Cinema! – 映画とアニエスベーの深い関係 –