© Czech Audiovisual Fund, Source: Národní filmový archiv, Praha
© Czech Audiovisual Fund, Source: Národní filmový archiv, Praha

第二次大戦前夜のチェコ、プラハ。
葬儀社で火葬人として務めるカレル・コップフルキングルは家族を愛する平凡な男性だが、親ナチスの友人や社会情勢に影響され、やがて衝撃的な「最終解決策」へと駆り立てられていく。
ファシズムが忍びよる恐怖を暴き出す傑作暗黒コメディであり、ユライ・ヘルツ監督の最高傑作と評される。いたって普通の人間が加害者となっていく姿を美しくもおどろおどろしい表現主義的な映像で描きだす、「悪の凡庸さ」を切り取った映画史上に残る傑作といえるだろう。




『火葬人』Spalovač mrtvol ※日本初公開
(1968年/チェコスロバキア/100分/モノクロ)
監督:ユライ・ヘルツ
出演:ルドルフ・フルシーンスキー、ヴラスタ・フラモストヴァー、ヤナ・ステフノヴァー、ミロシュ・ヴォグニチュ、イジー・メンツェル
原作・脚本:ラジスラフ・フクス
音楽:ズデニェク・リシュカ
撮影:スタニスラフ・ミロタ
編集:ヤロミール・ヤナーチェク
日本では「ひなぎく」やヤン・シュヴァンクマイエル監督のアニメーションなど、自由な想像力によって生み出された個性溢れる作品がカルト的人気を誇るチェコ映画。この度、「黄金の60年代」と呼ばれたチェコ・ヌーヴェルヴァーグの作品群の中から、これまでほとんど見ることができなかった傑作4本をチェコ映画傑作選と題して公開。「火葬人」、「第五の騎士は恐怖」、短編の「一口のパン」は今回が日本劇場初公開となる。
プラハに暮らす普通の男が親ナチスの友人や社会情勢に影響され、やがて破滅的な「最終解決策」へと駆り立てられていくさまを描いた「火葬人」は本国チェコでもすぐに公開禁止となり、共産主義政権が倒れる1990年まで上映できなかった問題作。戦時下における密告社会の恐怖を描く「第五の騎士は恐怖」は、「最高峰の映像美を誇る作品」と評され、ポーランドの鬼才イエジー・スコリモフスキ監督もフェイバリットにあげる傑作。さらに強制収容所に向かう貨物列車から飛び降りた二人の青年の逃避行を、心象風景とともに描く衝撃作「夜のダイヤモンド」はATG配給による1968年の日本公開以来、初のリバイバル(日本初公開の短編「一口のパン」と同時上映)。
今回上映される4作品は、いずれもが大戦前夜から戦中を背景として、製作当時の共産主義体制への反発も垣間見えるものの、決してそれだけに終わらない映画的豊かさに貫かれている。すでに自由を奪われた人間たち、自由の欠如を自分たちで背負い込んだ者たち、全てが少しずつおかしくなっていく街と生活、狂気に蝕まれ、それを行動に移していく人間たちを描いた作品だ。

【チェコ映画傑作選】
提供:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:マーメイドフィルム、VALERIA
協力:チェコ蔵(CHEKOGURA)
後援:チェコ共和国大使館、チェコセンター東京