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SEBASTIAN セバスチャン Sebastian

1月23日(金)公開

© Sebastian Film and The British Film Institute 2024 / ReallyLikeFilms 2025

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1月23日(金)公開

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小説を書く僕と、小説の中の僕。The writer I am, and the character I become.

サンダンスが絶賛!欲望と創作のはざまで揺れる青年が、
もうひとりの自分を見つける旅。

ロンドンに暮らす25歳の小説家志望の青年マックスは、デビュー作の着想を得るため、“セバスチャン” という偽名を使い、セックスワークの世界に身を投じる。昼は物語を模索する若き作家として、夜は欲望と孤独が交錯する街の中で、他者と自分を見つめ直すもう一人の“ 彼” として生き始める。二重生活のなかでマックスが見出していくのは、創作のための素材ではなく、社会的な枠を超えた「自己の解放」そのものだった。
フィンランド系イギリス人の脚本家・監督ミッコ・マケラは、クィアなセクシュアリティがもつ越境性と、アイデンティティを受け入れることで生まれる変化の力を、繊細な視点で描き出す。センセーショナルな演出や道徳的な判断を排し、セックスワークという題材をポジティブに捉える本作は、セクシュアリティと自己表現をめぐる勇敢な試みとして、観る者に深い余韻を残す。
静謐な映像と抑制のきいた演出が生み出すのは、欲望と孤独、羞恥と自由が交錯する美しいバランス。マックスの内面をたどるようなこの旅路は、観客自身の“もうひとつの顔” をも映し出していく。

抑制と衝動、そのはざまに生きる青年を体現する
新星ルーアリ・モリカ。

主人公マックスを演じるのは、スコットランドとイタリアにルーツを持つ新鋭俳優ルーアリ・モリカ(26 歳)。美しい容姿と繊細な感受性を併せ持つ彼は、マックスという複雑な人物をリアルかつ誠実に演じ切り、観客を圧倒的な没入感へと導く。
不安と好奇心のあいだで揺れる青年が、“ セバスチャン” というもう一つの人格に深く溶け込んでいく過程を、彼は驚くほど自然に、そして大胆に体現している。
本作が2024年サンダンス映画祭で上映されると、作品の評価とともにモリカの存在は一躍注目を集めた。
その後、マーベルのテレビシリーズ『ビジョンクエスト』の主要キャストに抜擢されるなど、世界中の映画界から熱い視線が注がれている。“抑制と衝動のはざまで生きる青年”を演じたモリカの演技は、現代のクィア・シネマに新たなリアリティをもたらした。

ポストヌーヴェルヴァーグの系譜に連なる、
フィンランド出身の俊英ミッコ・マケラ。

脚本・監督を務めたミッコ・マケラは、フィンランド出身の注目監督。
アメリカ最大のインディペンデント映画サイト「IndieWire」が選ぶ“注目すべきLGBTQ映画監督ベスト25”にも名を連ねるなど、国際的に評価が高い。
モーリス・ピアラ、シルヴィ・コラール、フランソワ・オゾン、オリヴィエ・アサイヤスといった、ヌーヴェルヴァーグ以降のフランス映画に影響を受けたマケラは、本作でもその精神を現代的に再構築している。
長回しや静謐な構図、観客に語りを委ねる余白のある演出は、詩的でありながらリアル。彼独自の美学が本作のトーンを決定づけている。
今回の題材を選んだ理由について、マケラはこう語る。
「2010年頃から、ロンドンではセックスワークに従事する若者たちが、自らの意思でその職業を選んでいることを知った。生活のためではなく、むしろ自分の生き方を定義する手段として。そこに新しい価値観を感じた。」
『セバスチャン』は、そうした現代的な視点を的確に捉えながら、セクシュアリティとアイデンティティをめぐる問いを静かに、しかし力強く投げかける。
ミッコ・マケラはこの作品で、クィア・シネマの新たな地平を切り拓いた。

【STORY】
小説家とセックスワークの狭間で漂流する、青春の体温。

ロンドンに住み、将来を嘱望されている若い作家志望のマックス。
彼はデビュー作となる長編小説をリアルなものとするために、“セバスチャン” という名前で男性相手のセックスワークの世界に足を踏み入れる。職業を通して体験する未知の世界。
様々なクライアントと接していく内に、マックスとセバスチャンの境界線を次第に見失っていく・・・。

監督・脚本:ミッコ・マケラ
Directed & Written by Mikko Mäkelä

ミッコ・マケラはロンドンを拠点とするフィンランド系英国人の脚本家/映画監督。IndieWire誌により「注目すべきLGBTQ映画作家」として紹介された。マイクロバジェットで制作された長編デビュー作「葺の中のひととき」は、BFIロンドン映画祭、ヨーテボリ映画祭、シアトル国際映画祭などを含む世界約100の映画祭で上映され、フレームライン映画祭では長編デビュー部門にノミネートされたほか、BIFA(英国インディペンデント映画賞)、フィンランドのユッシ賞でも候補となった。
第2作となる『セバスチャン』は、サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック・コンペティションでワールドプレミアを飾った。また前作同様ユッシ賞では最多5部門で候補に選ばれた。ベルリナーレ・タレンツ、そしてNetflixがスポンサーとなったBIFAスプリングボード・プログラム第1期の修了生でもある。自身が共同設立した制作会社Bêtes Sauvagesで、パートナーのジェームズ・ワトソンと共にプロデューサーとしても活動している。
2024『セバスチャン』 (脚本・監督・編集) – 長編
2023「特別なことじゃない」“Nothing Special” (脚本・監督・編集) – 短編
2022「奉仕」“Palvelus” (脚本・監督) – 短編
2017「葺の中のひととき」“A Moment In The Reeds” (脚本・監督・編集) – 長編


『SEBASTIAN セバスチャン』Sebastian
(2024 年/イギリス/110分/英語・フランス語/1.85:1/5.1ch/R18+)

監督・脚本:ミッコ・マケラ
出演:ルーアリ・モリカ、ヒフトゥ・カセム、イングヴァル・シグルズソン、ジョナサン・ハイド、ララ・ロッシ、リアン・ベスト、デヴィッド・ネリスト、ペドロ・ミナス、フルール・キース、ディラン・ブレイディ、アクバル・クルサ、マーカス・マクラウド、ステラ・ゴネット、ヴァレリア・ロコ
日本語字幕翻訳:南裕子
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ