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君と私 너와 나/The Dream Songs

11月28日(金)公開

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11月28日(金)公開

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セウォル号沈没事故を背景に紡がれる女子高生たちの愛の風景

2014年4月16日、修学旅行中の韓国安山市檀園高校2年生など乗客476名を乗せた大型旅客船セウォル号が、南西部の観梅(クァンメ)島沖海上で転覆、沈没した。犠牲者は299名、行方不明者は5人に上り、犠牲者のうち、250人は修学旅行中の安山市檀園高校2年生の生徒で、11人は引率の教員だった。
本作は、間接的に観客に事故を想起させながら、その時、確かに人生を歩んでいた彼女たちや彼らの日常に寄り添う愛の物語である。

監督は、ドラマ『D.P. ー脱走兵追跡官ー』シーズン1(21)の脱走兵チョ・ソクポン役で視聴者の涙を誘い、百想芸術大賞で男性助演賞を受賞した名バイプレーヤーのチョ・ヒョンチョル。韓国芸術総合学校映像院映画科で学び、俳優業と並行して監督としてのキャリアを築いてきた。長編映画デビュー作となる本作は、チョ監督の個人的な経験を、セウォル号沈没事故を背景に、女子高生2人のラブストーリーへと昇華させた。女子高生同士の恋愛を描いた理由について、「男女の恋愛映画をみるときに『なぜ男と女が主人公なんだ?』と疑問を持たないのと同じで、僕にとってはごく自然で普通の恋愛でした」と語っている。その一方で、「30 代の男性である僕が彼女たちの世界を表現してもいいのか、怖さもあった」とし、だからこそより丁寧な取材を行った。

ありのままの高校生像を掴むために監督自身が予備校の教壇に立ち、言葉を集めた。7年の歳月をかけて、緻密に織り上げた脚本は高い評価を受け、韓国で最も権威がある映画賞、第45回青龍映画賞にて『ソウルの春』(23)や『パストライブス/再会』(23)などの大ヒット作を押さえ、最優秀脚本賞と新人監督賞をW受賞する快挙を果たした。さらに第60 回百想芸術大賞では、女性の多様な人生と感情を描き出した秀作に贈られるGUCCI IMPACT AWARDも受賞している。

恋にひたむきな主人公・セミ役には『スウィング・キッズ』(18)で注目されたパク・ヘス。『サムジンカンパニー1995』(20) ではチョ監督と共演している。セミが想いを寄せるハウン役には、初主演作『あしたの少女』(22)で迫真の演技を見せたキム・シウンがオーディションから選ばれた。Netflixドラマ『イカゲーム』シーズン2(24)で95番のヨンミとして、世界中で注目された新星だ。監督が絶大な信頼を寄せる若手実力派の2人が、不器用ながらも初々しく切ない恋をする女子高生を、自然体な演技で見事に演じ切った。何度もリハーサルを重ね、脚本には、2人のアドリブも採用されている。
撮影には、広告やMVを中心に手掛ける気鋭の映像作家DQMが抜擢された。音楽は、今年フジロックフェスティバルにも出演し話題を呼んだ4ピースバンドHYUKOH/ヒョゴのリーダー兼ボーカルを務めるOHHYUK/オヒョク。エンディングで印象的に響く独特な低音はオヒョクのアイデアである。韓国カルチャーシーンを牽引するクリエイターが、「夢と現実の境界を曖昧にしたかった」というチョ監督のイメージをふくらませた『君と私』。
幻想的な映像美と、浮遊感のある寂しげなサウンドがエモーショナルな雰囲気を紡ぎ出す。いつまでも心に宿り続ける、忘れがたい一遍がここに誕生した。

【STORY】
忘れない。きみとの全部。

修学旅行を明日に控えた高校生のセミ(パク・ヘス)は、教室で不思議な夢を見た。不吉な胸騒ぎを覚えたセミは、足の骨折で入院中のハウン(キム・シウン)のもとへ向かう。長い間、心に秘めていた思いを、今日こそ伝えなければいけない気がしたからだ。しかし、どうしても一緒に修学旅行に行きたいセミと、どこか煮え切らない態度のハウンは、些細な口喧嘩をきっかけに、お互いの気持ちを伝えられないまま、すれ違っていってしまう──。

修学旅行の前日。セミ(パク・ヘス)は、教室で不思議な夢を見た。胸騒ぎを覚えたセミは学校を抜け出し、想いを寄せるハウン(キム・シウン)の病室へと走る。自転車との衝突で脚をけがしたハウンは、修学旅行を諦めて入院中なのだ。ところが、ふいに見てしまったハウンの手帳の一言に、セミの視線が止まる。“フンババにキスしたい”。
夢のせいで不吉な予感から逃れられないセミは、一緒に修学旅行に行こうとハウンを必死で説得し、ビデオカメラを片手に何とか旅費を工面しようとする。しかしどこか煮え切らないハウンの態度に、セミの抑えていた感情がついに溢れ出す。心に秘めてきた想いを、今日こそ伝えたい。焦るセミと、ある事情を抱えるハウン。お互い言葉にならない気持ちを抱えたまま、2人だけの夜が訪れた──。

『君と私』 너와 나/The Dream Songs
(2022年/韓国/118分/ビスタ/5.1ch/G)

監督:チョ・ヒョンチョル
出演:パク・ヘス、キム・シウン、オ・ウリ、キル・へヨン、パク・ジョンミン
音楽:OHHYUK/オヒョク(HYUKOH/ヒョゴ)
配給:パルコ