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9月19日(金)公開
9月19日(金)公開
ボスニア・ヘルツェゴビナ出身、オランダ育ちという自身のルーツを色濃く投影したこの半自伝的作品は、監督が心酔するジム・ジャームッシュの代表作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から多大なインスピレーションを受けている。男女3人の主要キャラクター、静的でミニマルな演出、ゆったりと流れる時間と余白に満ちた空間。さらにアイデンティティが不確かな主人公の自分探しという普遍的なテーマを追求した本作は、世界中から優れたインディペンデント映画が集うロッテルダム国際映画祭コンペティション部門でタイガー賞特別賞を受賞し、国際的にも高く評価された。
少女から大人になるとは、どういうことなのだろうか。母と父という異なるアイデンティティを持つアルマの本当の居場所はどこなのか。オランダでもなくボスニアでもない、彼女にとっての素敵な居場所とは何だろう。
心地よい風と太陽、水の煌めき…アルマに「とびっきりの夏」はいつ訪れるのだろうか──。
大人への入り口に立つアルマは、オランダ育ちのボスニア人。母と自分を置いて母国に帰った父が入院し、死にかけているという知らせを受け、父に会うため一人ボスニアへ向かう。冷たい態度で彼女を迎える従兄弟のエミルと、下心いっぱいで近づくその親友デニス。エミルのアパートに着いたものの、キャリーケースの鍵が壊れ、母に買ってもらったぺらぺらのベロアのワンピース一枚の着たきり雀となったアルマ。
ひとり夜の街をさまよい、まるで大人ぶるように髪をブロンドに染める。父の病院に車で送ってほしいと頼むが、忙しいからとエミルたちに相手にされず、仕方なく長距離バスに乗り込むアルマだったが…。
『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』TAKE ME SOMEWHERE NICE
(2019年/オランダ・ボスニア/オランダ語・ボスニア語/91分/カラー/4:3)
監督・脚本:エナ・センディヤレヴィッチ
出演:サラ・ルナ・ゾリッチ、エルナド・プルニャヴォラツ、ラザ・ドラゴイェヴィッチ
撮影:エモ・ウィームホフ
編集:ロット・ロスマーク
衣装:ネダ・ナゲル
音響:ヴィンセント・シンセレッティ
音楽:エラ・ファン・デル・ワウデ
日本語字幕:上條葉月
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム