
第68回ヴェネチア映画祭脚本賞受賞
『女王陛下のお気に入り』(2018)、『哀れなるものたち』(2023)、『憐れみの3章』(2024)などの鬼才ヨルゴス・ランティモスが2011年に発表した、第68回ヴェネチア国際映画祭最優秀脚本賞受賞作。
愛する人を亡くした人々の喪失感を癒すため、故人を演じる謎の集団“アルプス”。
噛み合わない台詞、常識を超えた設定と予測不可能な展開…。
異形と不条理、シニカルな笑いに満ちたランティモス節全開の怪作。
『籠の中の乙女』(2009)で国際的に高い評価を受けた直後、本作を完成させたランティモスはイギリスのロンドンに移住し、『ロブスター』(2015)、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017)、『女王陛下のお気に入り』(2018)と、国際スターが競演する英語作品を撮り続けている。
救急救命士、看護師、新体操選手とそのコーチから成る“アルプス”は、愛する人を亡くした人々のために故人を演じ、共に時間を過ごし、すべての要望を叶えることで喪失感を癒すサービスを提供する謎の集団。
彼らには秘密厳守や報告義務など外部には知られてはならない厳しい掟があったが、看護師は自分が担当していた患者でもあった事故死したテニス選手をその両親や恋人のために演じるうち、現実と演技の境界線が分らなくなり、報告会に参加しなくなる。
看護師の行動に疑問を持った救急士は看護師の後をつけて行動を監視し、彼女が掟を破っていることを知り制裁を加える。
やがて看護師はその行動をエスカレートさせ狂気を帯びていく・・・。
『アルプス』 ALPS
(2011年/ギリシャ、フランス、カナダ、アメリカ/93分/ギリシア語)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:アンゲリキ・パプーリァ、アリアン・ラベド、アリス・セルベタリス、ジョニー・ヴェクリス、スタブロス・シラキス
配給:Stranger