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2025年1月31日公開
2025年1月31日公開
4歳の娘を持つオーストラリアの映画監督デイモン・ガモーは、娘たちの世代には希望を持てる未来に生きてほしいと願っている。悪化する地球環境を懸念する中で、もし地球環境を再生できるようなアイデアや解決策が今後急速に世界中に広がったら、娘が大人になる2040年にはどんな未来が訪れるだろう?と、現実的な解決策の実行者や専門家に会うため欧州各国やアジア、アフリカ、米国と世界11ヶ国を巡る旅に出る。その中で取り組むべき問題の数と同じくらい、すでに実践可能な解決策が沢山あることを知る。また、各地で約100人の子どもたちに理想の未来についてインタビューし、彼らの“希望”に刺激を受ける。
バングラデシュでは自家用の太陽光発電システムをつなぎ電気を取り引きし、シェアするマイクログリットの実践と恩恵を目にし、経済学者ケイト・ラワースには経済成長に依らず持続可能な社会を目指す理想的な経済モデル「ドーナツ経済学」について、オーストラリアでは土壌を修復し自然環境の回復に繋げるリジェネラティブ(再生型)農業について学ぶ。栄養価の高い食物であり、魚の棲みかでもある海藻で海洋環境を改善させる海洋パーマカルチャーに希望を見出し、言語学者でローカリゼーション運動のパイオニアであるヘレナ・ノーバーグ=ホッジの「マスコミの報道でなく現実に目を向ければ、いたるところに驚異的な希望の光が見えるはず」という言葉に勇気づけられる。2040年までに今ある解決策を拡大することで、私たちの生活と地球にどのようなプラスの影響を与えることができるだろうか。CGやポップな映像を交え、未来の世代のためにどのように地球を再生させることができるか、ワクワクするような未来予想図を描く。
これまで多くの映画が人間の活動に起因する災害から文化的崩壊に至るまで、私たちの現在置かれている悲惨な状況を伝えてきました。それらの映画は人々の意識を高め、変化を切望する人々のうねりを生み出しました。しかし、破壊と苦しみの映像がニュースフィードを埋め尽くしている状態、これは私たちが子供たちに見せている物語であり、悲しいことにそのような映像が私たちを圧倒し、感覚を麻痺させています。私は新しい物語、つまり解決策に焦点を当てた物語の余地があると信じています。
『2040 地球再生のビジョン』は私の4歳の娘に宛てたビデオレターのような構成で、私たちが今子どもたちに見せている悲観的な未来とは別の未来を示しています。そして、私が娘に見せる2040年の未来は現在すでに何らかの形で実在していなければならない。作り物ではないのです。この映画はユートピア的なファンタジーではなく、私が「事実に基づく夢の構想」と呼ぶものの実践です。そこで、世界中の6歳~11歳までの子どもたち100人近くにインタビューし、2040年はどんな未来になっていてほしいか尋ねました。彼らの答えは、興味深く、刺激的なものでした。
農業、養殖、都市設計、交通手段、教育など、世界中の様々な分野の専門家にも相談しました。当初は地球温暖化防止とCO2排出量削減をテーマにした映画にしようと思っていたのですが、ローカリゼーションや、食料・土壌の質の向上、より安価でクリーンなエネルギーと移動手段、生物の生息地と生態系の回復をテーマにした映画になりました。今ある解決策を実践していくことで、私たちを取り巻く環境は自然に回復していくのです。
科学革命は私たちに多くの素晴らしいものを与えてくれましたが、同時に私たちの役割は自然を征服し、私たちの目的のために自然を支配し、コントロールすることだと思わせてもきました。『2040 地球再生のビジョン』の制作は、私たちが生き残るためには、自分たちを“敬虔な客人”あるいは“土地の守り人”と見なしていた遠い祖先の比喩を取り戻さなければならないことを教えてくれました。そしてこの映画に登場する子供たちの声は、私たちは生まれながらにして周囲を気遣う心を持っていること、現在の文化がそれを徐々に蝕んでいることに気づかせてくれました。この映画が私たちの可能性ある未来についての物語を再構築し、新しくも古い物語を語ることに貢献できることを願っています。
いかにして地球温暖化を逆転させ、あらゆる生物の生活を向上させたかという物語を。
『2040 地球再生のビジョン』2040
(92分/オーストラリア/2019年/ドキュメンタリー)
監督・脚本:デイモン・ガモー(『あまくない砂糖の話』(2014))
出演:デイモン・ガモー、エヴァ・ラザロ、ゾーイ・ガモー、ジェネビーブ・ベル、フレーザー・ポーグ、アマンダ・カーヒル、リアン・ポーグ、ポール・ホーケン、ケイト・ラワース、ブライアン・フォン・ハーゼン、トニー・セバ、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、コリン・セイス、シャロン・ピアソン、ニール・タムハネ、ジョン・E・ピーターソン、エリック・テーンスマイヤー
製作総指揮:イアン・ダーリン、マリンダ・ウィンク、マーク・モンロー他
プロデューサー:ニック・バッツィアス、アナ・カプラン、ヴァージニア・ウィットウェル他
撮影:ヒュー・ミラー
編集:ジェーン・アッシャー
音楽:ブライオニー・マークス
制作:GoodThing Productions、Regen Productions Film
配給:ユナイテッドピープル
後援:オーストラリア大使館