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1月3日(金)公開
1月3日(金)公開
親が子を育て、暮らしを営む。
その子が新たに生まれた子を育て、世代が移っていく。
それはまるで四季のように。
夏が来て冬が来る。冬が去るとやがてまた夏が来る——。
これが初の長編映画となる彭偉(ポン・ウェイ)監督は、これまであまり映像作品で取り上げられることのなかった、こうした中国社会のひずみにスポットを当てる。
中国で実際にあった数件の家族のエピソードを盛り込み、多くの女性たちが経験していながらも大きな声では語ってこなかった心の傷に優しく寄り添う。
中国で映像制作の仕事に従事し、日本大学芸術学部映画学科で学んだ経歴を持つ彭監督。本作は、撮影や脚本制作は中国で、仕上げ作業は日本で行うという中日共同作品として完成された。
佳妮が暮らす街の様子が撮影されたのは、近代化が著しい広東省の大都市・深圳。家族が暮らす村の撮影場所には、青い海と赤いレンガ造りの屋根が並んだ風景が美しい青島が選ばれた。青島を有する山東省は、孔子や孟子、諸葛孔明らの生誕地として知られ、古代より中国の豊かな文化を育んできた土地。この2つの地域が持つシンボリックな意味も興味深い。
どんな家族にもひずみがある。
佳妮と姉たちが経験してきたことは、あまりにも理不尽だ。
しかし、彼女たちは自分自身を縛り付けていたこだわりや価値観に向き合い、悲しみも苦しみも受け止めて前に進む。この映画は割り切れない感情を丸ごと包み込み、これからを生きようとする女性たちの背中をそっと押してくれる。
新田理恵(ライター)
広東省に住むジャーニーは、結婚を機に家を購入するかどうかで恋人・ジーユエンと意見が合わず、彼からのプロポーズの返事を先延ばしにしていた。
ある電話をきっかけに、ジャーニーは生家の家族と連絡が取れ、実父の葬儀へ参列することになる。
初めて会う母、初めて会う二人の姉と弟。長女のウェンフォンは生家で過ごしてきたが、次女のシャオリーもまた養子に出されていたことを知る。
三姉妹は互いの心を癒しながら日々を過ごす。
時折、ジャーニーは幼い頃の養父とのささやかな時間を思い出し、家族や家のことを改めて考え始めるが、母が自分を探したのは、別の目的があったことを知る・・・。
『夏が来て、冬が往く』 夏來冬往/Hope for A New Life
(2023年/中国/カラー/98分/ビスタ/5.1ch)
監督:彭偉(ポン・ウェイ)
出演:雪雯、鄭文鳳、陈昊明、楊涵斌、王亜軍、孫序博、劉冠宜、王馳、牟纹萱、石榴
制作:牧義寛
音楽:西村大介、黒田征一
効果・整音:丹雄二
CG:石川浩作
編集:宮澤誠一、飯田一史
グレーディング:稲川実希、吉沢和晃
日本語字幕:樋口裕子(日本シネアーツ)
英語字幕:平田早苗 (スプラウト)
協力:日本大学芸術学部映画学科 北海道映画舎
配給:アークエンタテインメント
配給協力:クロスメディア