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上映中~11月14日(木)※上映終了
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甲斐監督が20年以上をかけ構想し書き上げ、満を持して映画化されたオリジナル作品。
少年疾走事件を題材にした映画『赤い雪 Red Snow』で2019年鮮烈な長編監督デビューを果たし、第14回JAJFF(Los Angeles Japan Film Festival)最優秀作品賞を受賞するなど国内外問わず注目を集めている甲斐さやか監督。
彼女の5年ぶりとなる待望の長編第二作は、死が近づいている新次と、臨床心理士のまほろ、そして治療のために人間へ提供される「それ」との物語だ。
主人公の新次を演じるのは、今最も映像界に欠かせない俳優・井浦新。この映画の構想を聞いたときには「今まで観たこともないような表現の在り方に挑んでいかないといけない」と感じたという。
まほろ役には俳優、モデル、また自身のブランドも手掛け、世界で活躍する水原希子。
更に、謎めいた「海の女」役には、世界各国で数多くの賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』で注目を浴びた三浦透子。
また新次の母親役として、デビュー以来、唯一無二の存在感で演じ続けている斉藤由貴。
そして国内外問わず映画業界、更にはカメラマンとしても活躍する永瀬正敏。
映画界の「現在(いま)」を感じさせる俳優が甲斐監督の元に集結した。
本作の編集には『落下の解剖学』(23)で第96回アカデミー賞編集賞にノミネートされたロラン・セネシャルと『ドライブ・マイ・カー』(21)編集担当の山崎梓が担当。
第一線で活躍するスタッフがタッグを組み、美しい化学反応が本作に解き放たれる。
タイトルの『徒花』とは、「無駄な花」を意味するが、そこにこめられた美学と生命の価値とは。
甲斐監督は、ここではないどこかの物語を描くことで、今ここにある「怖さ」を突きつける。
裕福な家庭で育った新次(井浦新)は、妻との間に一人娘も生まれ、周りから見れば誰もが望むような理想的な家族を築いていた。
しかし、死の危険も伴うような病気にむしばまれ、とある病院で療養している。
手術を前にした新次には、臨床心理士のまほろ(水原希子)が心理状態を常にケアしていた。
しかし毎日眠れず、食欲も湧かず、不安に苛まれている新次。
まほろから「普段、ためこんでいたことを話すと、手術に良い結果をもたらす」と言われ、過去の記憶を辿る。
そこで新次は、海辺で知り合った謎の「海の女」(三浦透子)の記憶や、
幼い頃の母親(斉藤由貴)からの「強くなりなさい、そうすれば守られるから」
と言われた記憶を呼び起こすのだった。
記憶がよみがえったことで、さらに不安がぬぐえなくなった新次は、
まほろに「それ」という存在に会わせてほしいと懇願する。
「それ」とは、病気の人間に提供される、
全く同じ見た目の“もう一人の自分(それ)”であった・・・・・・。
「それ」を持つのは、一部の恵まれた上層階級の人間だけ。
選ばれない人間たちには、「それ」を持つことすら許されなかった。
新次は、「それ」と対面し、自分とまったく同じ姿をしながらも、
今の自分とは異なる内面を持ち、また純粋で知的な「それ」に関心を持ちのめりこんでいく・・・・・・。
『徒花-ADABANA-』
(2024年/日本/94分/G)
監督・脚本:甲斐さやか
出演:井浦新、水原希子、三浦透子、斉藤由貴、永瀬正敏
配給:NAKACHIKA PICTURES