日時
11月8日(金)~上映
11月8日(金)~上映
本作は、16mmカラーフィルムで撮影した映像を2K-fullの高精細画像にデジタル化し、16:9の画面に変換したものである。2021年初夏、文化財映像研究会は、クラウドファンディング(READYFOR 沖縄久高島の祭礼 イザイホー|貴重な記録映像をデジタル化し後世へ)で多くの方々からご支援をいただき、1978年に撮影された全映像を高精細画像にデジタル化することに成功した。
【イザイホーとは】
「イザイホー」は沖縄の久高島で12年に一度、午年に行なわれる祭礼で、600年以上前から続いてきた重要な神事のひとつである。久高島は、首里の東に位置し、神聖な島と信じられ、ノロと呼ばれる巫女を中心とした神女組織で継承されてきた。久高島で生まれ育った女性は、祭祀を執り行なう役割を与えられ、その就任儀礼がイザイホーである。
沖縄の社会では、女性が中心となって祭祀を行ない、男性が政治的な役割をもつという伝統があった。これらは、日本古来の祭祀の原型を留めているのではないかとされ、多くの研究者の注目を集めてきた。しかし社会の変化にともない、1978年を最後に祭礼は途絶え、その存続と継承が危ぶまれている。
本作では、祭礼が始まるひと月前の御嶽廻り、御願立(ウガンダティ)から、祭場の準備、香炉の継承、4日間の本祭、祭場の撤去、終了祝い、一年を締めくくる「フバワク」の祭りまで、儀礼過程が詳細に記録されている。収録された祭祀歌謡に、原音カタカナ表記、現代語訳をつけ、「イザイホー」の祭祀歌謡の世界をより深く理解できるよう字幕をつけた。
この映画は110分だが、カットされたシーンを含めると、全体の長さは17時間に及ぶ。イザイホーには多くの記録映像があるが、16㎜カラーフィルムの同期録音撮影の例はなく、儀礼の手順や神謡のすべてを記録した映像は他にはない。半世紀近くの月日が流れ、このままでは、島の中で脈々と受け継がれてきた儀礼は、失われてしまう可能性が高い。この映像は、もしも将来、イザイホーを復活する日が来るならば、その復元において、なくてはならない参考資料となり得るだろう。
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記事は
岡田一男監督プロフィール
映像作家、株式会社東京シネマ新社代表取締役・公益財団法人下中記念財団評議員。1942年、東京生まれ。1961-66年、モスクワの全ソ国立映画大学(VGIK)劇映画監督科で主任教授、ミハイル・ロンム監督に師事。
帰国後、父、岡田桑三の東京シネマに入社。演出第一作「人間の心と社会」1971年で VGIK を正式卒業。1970年、国際学術映像収集運動、エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ(ECフィルム)の日本導入、下中記念財団 EC 日本アーカイブズ設立と運営に参画。以来、教育・科学・文化に関わる幅広い生物誌・民族誌映像制作と国際的映像収集に関わる。
沖縄との関わりとして、沖縄国際海洋博、海洋博ホール、3 面マルチスクリーン作品「マリンフラワーズ 腔腸動物の生活圏」の構成。民俗誌映像「沖縄久高島のイザイホー」、「石垣島川平のマユンガナシ」に携わる。
2021年4月、「沖縄久高島のイザイホー」の全撮影素材デジタル化のクラウドファンディングの実施と以後のアーカイブ化、データベース化を目指すイザイホー映像デジタル化プロジェクトのため東京文化財研究所無形文化遺産部音声映像記録研究室長、石村智、沖縄出身の民俗祭祀研究者、学習院大学講師、三島まきと共に非営利任意団体、文化財映像研究会を立上げ、会長に指名された。
『沖縄久高島のイザイホー』【2022年デジタル・リメーク版】
(1979年/110分)
監督:岡田一男
制作:文化財映像研究会/東京シネマ新社 岡田一男、石村智、三島まき
支援:READYFORクラウドファンディング【沖縄久高島の祭礼 イザイホー|貴重な記録映像をデジタル化し後世へ】
助成:公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団
配給:文化財映像研究会、東京シネマ新社