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ナチ刑法175条 Paragraph 175

5月17日(金)~5月23日(木)1週間限定公開

日時

5月17日(金)~5月23日(木)1週間限定公開

料金

一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(18歳以下) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK京都会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINK京都ユース会員(22歳以下)いつでも¥900/障がい者割引¥1,000

詳細 DETAIL

不朽の名作『ハーヴェイ・ミルク』のスタッフが自由と尊厳を問う傑作ドキュメンタリー

かつてドイツで施行されていた同性愛を禁じる<刑法175条>!!なぜ国家によって同性愛は禁止されたのか?

『ナチ刑法175条』は、ドイツでかつて施行されていた同性愛者を差別する<刑法175条>により、特にナチ支配下で男性同性愛者が弾圧されていた事実を、6人のゲイとひとりのレズビアンによる証言を通して描いたドキュメンタリー映画である。同法により約10万人が捕まり、1万から1,5万人が強制収容所に送られ、強制労働や医学実験に使われた結果、生存者はおよそ4000人、本作製作時に生存が確認出来たのは僅か10名に満たなかったという。同性愛を理由に逮捕され、いきなり収容所に1年半拘置された者や、中にはナチドイツ占領下のフランスでも収容所に送られた者もいたという。

監督は『ハーヴェイ・ミルク』(1985年アカデミー賞受賞作)のロブ・エプスタインと、同作のスタッフだったジェフリー・フリードマン、ナレーションは自らもゲイであることを公表しているイギリス人俳優、ルパート・エヴェレット。

本作は、2000年ベルリン国際映画祭最優秀記録映画賞を始め多数の映画賞を授与され、日本でも2001年山形国際ドキュメンタリー映画祭のコンペティション部門に選出。2023年7月に<刑法175条>を題材にした劇映画『大いなる自由』公開の際に『刑法175条』のタイトルで特別上映されるなど、長く語り継がれている傑作である。なお、今回の公開は新たに開発されたデジタル・リマスター版による上映となる。

【作品概要】

<刑法175条>条文抜粋邦

制定:1871年5月15日 施行:1872年1月1日


男性と男性の間で、あるいは人間と動物の間で行われる不自然な性行為は、禁固刑に処される。公民権が剥奪される場合もある。(本法は東ドイツでは戦後1968年まで、西ドイツでは1969年まで残っていた)

An unnatural sex act committed between persons of the male sex or by humans with animals is punishable by imprisonment; the loss of civil rights may also be imposed.
(PARAGRAPH 175 German Penal Code, 1871)

ナチ党支配により始まった弾圧
本作が描き出すのは、“黄金の20年代“と呼ばれ、性に寛容であった1920年代から、ナチ党が政権につき男性同性愛者への弾圧が激化され、ナチ党終焉後も自らの経験を“恥”と感じ、長らく語ることさえできなかった人々の姿である。カール・ゴラットは、もう終わったことだと語り、ピエール・ジールは当時について語ることがいかに難しいかと言う。ハインツ・Fは、当時“同性愛者の天国”として知られたベルリンのクラブで踊っていた頃を懐かしそうに振り返る。アルブレヒト・ベッカー、ガッド・ベック、ハインツ・デューマーは、積極的な同性愛者との出会いを経験した。当時は<自然、友情、人間の肉体を讃える>ことを支持する青年運動が盛んだったのである。だが、ヒトラーが権力を握ると状況は一変した。

<再教育>のため強制収容所に
レズビアンは最終的に対象外に

ナチスは男性同性愛者を、“ドイツ国民を堕落させ、弱体化させる危険な病”とみなし、強制収容所における同性愛者に対する方針は<再教育>であり、ユダヤ人でない者の多くがガス室を免れたが、3分の2は死亡。酷い扱いを受け何人かは去勢された。当初レズビアンも対象とするべく検討したが、<一時的で治癒可能な状態>とみなし、最終的には対象から外されたが、多くのレズビアンがドイツを去り、あるいはゲイと結婚した。アネッテ・アイクは本作で証言している唯一のレズビアンである。

ゲイは強制収所で最下層
強制収容所での聞くに堪えない非人間的で凄惨なゲイ男性への扱い。強制収容所では、ユダヤ人が上着の背中に黄色いダビデの星を、同性愛者はピンクの三角印(ピンク・トライアングル)だった。そして、強制収容所内のヒエラルキーでは最下層がゲイであり、暴行やレイプは当たり前だった、との証言も。

終戦後も、175条で迫害された人々は犯罪者とみなされ、ナチスの犠牲者として法的な承認を受けた者は長らくいなかった。本作におけるクラウス・ミュラーによるナチス・ドイツ下での同性愛者の扱いに関する調査結果は、ワシントンD.C.にあるアメリカ・ホロコースト記念博物館の常設展示の一部となっている。

『ナチ刑法175条』(アメリカ/1999年/英語・ドイツ語・フランス語/カラー/81分/日本語字幕付き/原題:Paragraph 175)
監督:ロブ・エプスタイン(『ハーヴェイ・ミルク』)+ジェフリー・フリードマン 
日本版字幕:川口隆夫
宣伝デザイン:潟見陽
パブリシティ:スリーピン