近年、ドキュメンタリー映画を作り続けてきた堀江実監督は長引くコロナ禍の現状に触発されて、「映画を作り、生きる」という自身の根本を問い直す劇映画の制作を決意する。
モノローグと風景の結びつきを要としたヤマザキアキラによるオリジナルシナリオを踏まえ、野沢徹役に札幌を拠点に俳優・ナレーターとして活動する小林エレキ、松井ミカ役にシンガーソングライターの白波多カミンを起用。
ふたりに似合う等身大の街並みとして、監督自身とも馴染み深い東中野・高円寺・雑司ヶ谷・南砂町といった東京の風景が採用されていく。
2022年の初夏、本作の核心となる海辺での8ミリフィルム撮影よりクランクイン。メインカメラマンは、フジファブリックのMVや、現代美術家・村上隆の創作活動を長期に渡り記録しているヨシダシゲル。
音楽は、本作出演の白波多カミンに加え、劇団・快快『コーリングユー』(22)での活躍も記憶に新しいテンテンコが初めての映画音楽を手掛けた。
映画監督として活躍する野沢徹と、愛くるしい息子のユウスケ。
三人で暮らす生活に何ひとつ不満のないミカだが、どこかその顔は不安げに曇っている。
夢を諦めきれない徹と、そんな徹が好きだったミカ。
だが、そんな二人の前に立ちはだかる現実はときに残酷だった・・・
『イバラ・夜の祈り』(2023年/4K+8mm/カラー/スタンダード/ステレオ/65分)
監督・編集:堀江実
出演:小林エレキ、白波多カミン、米澤成美、石本日悠、瀧澤綾音、土田拓生、藤一平
脚本:ヤマザキアキラ
協力プロダクション:コギトワークス・モノサシパブリックリレーションズ
企画・制作:プラネットナインピクチャーズ