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【ケネス・アンガー追悼特集】アンガー・ミー

7月15日(土)、7月16日(日)二日間限定上映※上映終了

日時

7月15日(土)、7月16日(日)二日間限定上映※上映終了

料金

【特別料金】一般・シニア¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK京都会員¥1,000/UPLINK京都ユース会員(22歳以下)¥800

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【上映作品】

『アンガー・ミー』(2006年/71分/原題:Anger Me)

『アンガー・ミー』は、カナダのフィルムメーカー、エリオ・ジェルミーが2006年に制作したインタビュー・ドキュメンタリーで、ケネス・アンガーが1時間あまりカメラに向かって、幼少期から『スコピオ・ライジング』など自作について語る作品だ。
ハリウッドの著名人たちのゴシップを書いたアンガーの著作『ハリウッド・バビロン』に例えるならば、『アンガー・ミー』はアンガー自身が語る『ハリウッド・バビロン:ケネス・アンガー編』とも言えるだろう。

「ケネスは本質を突く複雑な人物だ。つまり詩人だよ。」
——ジョナス・メカス

神秘主義的映像や革ジャンにバイクというハードコアなイメージの映像で知られるアンガーの作品だが、本人は、映画の冒頭でジョナス・メカスが語るように「ケネスのことは、誰もがかなり気難しく、どうしようもない奴だと言っていたが、私が知っているケネスは誰よりも優しくて親切な人だったよ。彼は繊細で知的な天才映像作家だ」というのがよくわかる。

マヤ・デレンらと実験映画の配給会社「クリエイティブ・フィルム・アソシエーツ』を立ち上げた話、ジャン・コクトーに会いにパリに行き、シネマテーク・フランセーズでアンリ・ラングロワに採用され働き始めたこと、そのシネマテークでは収蔵していたエイゼンシュテインの『メキシコ万歳』のフッテージを再編集し、コッポラが所有していた35ミリフィルムを借りて、船のマストに掲げられる旗を赤色に手作業でしたエピソード。ローマに住んでいたときに接したフェリーニ、ヴィスコンティ、パゾリーニの話、『快楽殿の創造』を1958年ブリュッセル万国博覧会で3台の16ミリ映写機を同期させ3面マルチスクリーンで上映したこと。『ルシファー・ライジング』では、ルシファー役にキャスティングし、のちにマンソンファミリーの一員として投獄されたボビー・ボーソレイユと仲違いし、彼にフィルムを盗まれ落ち込み、映画監督をやめようと思った話。その後ロンドンに行き、そこで監督引退の気が変わり、ローリング・ストーンズとBFIの協力で、『我が悪魔の兄弟の呪文』を製作できたエピソード。そして、『スコピオ・ライジング 』がLAのミッドナイトスクリーニングでプレミア上映された際に、劇場に警察が現れ、映写技師と支配人が逮捕され、フィルムが押収されたこと。その後、カリフォルニア州の最高裁判所では公共の場での上映にふさわしいという判決が出て、映画の社会的価値を取り戻し、表現の自由に関しての先駆的な訴訟事件としてその後の映画の表現に影響を及ぼしたことを自らが語るアンガーの映画史である。

映画の最後でアンガーはこう語る。
「私は映像詩人だ。コクトーが生み出した流れを喜んで継承する。生は死と同じくらい神秘的だ。どちらも誰にも解けない謎だろう。恐ろしくて不可解な謎というより興味をかき立てられる謎だ。自分の次の大いなる冒険が死でも構わない。それは新たな挑戦だ」

監督:エリオ・ジェルミーニ
出演:ケネス・アンガー、ジョナス・メカス
配給・宣伝:アップリンク