日時
上映中~3月30日(木)※上映終了
料金
一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK京都会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINK京都ユース会員(22歳以下)いつでも¥900
上映中~3月30日(木)※上映終了
一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK京都会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINK京都ユース会員(22歳以下)いつでも¥900
MI-CAN3.5復活祭 最優秀作品
次世代の才能の発掘と育成を目的として2016年にスタートした「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」。“まだ存在しない映画の予告編”で作品を審査するというユニークな映像コンテストだ。2020年に実施された派生プロジェクト「MI-CAN3.5復活祭」では、日本を代表する映画会社のプロデューサーらが過去の入選作品を審査。そこで最優秀作品に選ばれ、晴れて映画化が実現したのが、この草苅勲監督による『死体の人』だ。
演じることにかける想いは人一倍強いものの、死体役ばかりをあてがわれる男の姿を通して、理想と現実の折り合いをつけることの難しさ、そして何より、“生きることと死ぬこと”という、私たち誰もの前にある深遠なる問題を描き出している。2014年の「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」で制作した『本のゆがみ』をはじめ、2016年公開のオムニバス映画『スクラップスクラッパー』内の一編「To be or…」、ラッセ・ハルストレム監督作『僕のワンダフル・ライフ』(2017年)のソフト化を記念して作られた『ひなたぼっこ』など、草苅監督は独自の視点で人間を見つめてきた。本作では自身の俳優経験をも活かし、ユーモアとペーソスのバランスが絶妙な人間ドラマを生み出している。
主人公の〈死体の人〉を演じるのは、『アルキメデスの大戦』(2019年)や『プリテンダーズ』(2021年)、『グッバイ・クルエル・ワールド』(2022年)などの奥野瑛太。作品のジャンルも規模も問わず幅広い活動を展開し、ドラマ『最愛』(2021年/TBS系)での好演も記憶に新しい演技巧者が、ひとりの人間の“生き様”をスクリーンに刻む。そんな〈死体の人〉が運命の出会いを果たすヒロイン・加奈役に、『寝ても覚めても』(2018年)や『覚悟はいいかそこの女子。』(2018年)の唐田えりか。奥野を相手にした胆大心小な彼女の演技が観る者を魅了する。また、加奈の恋人役を楽駆が演じるほか、〈死体の人〉の両親役を、きたろう、烏丸せつこらベテラン俳優が務め、コミカルな作風に深みを与えている。
役者を志していたものの、気がつくと “死体役”ばかりを演じるようになっていた吉田広志(奥野瑛太)。開いたスケジュール帳はさまざまな方法で“死ぬ予定”でいっぱいだ。「厳密にリアリティを追求するなら……」と演じることへの強いこだわりを持つ彼だが、効率を重視する撮影現場では、あくまで物言わぬ“死体”であることを求められる。劇団を主宰していた頃の後輩俳優は要領よくテレビで活躍を果たしているが、彼にはそれができない。死体役には死体役のリアルが彼の中にはあるのだ。ひとりのときでも発泡酒を口にすれば“毒死のシーン”を、浴槽に浸かれば“溺死のシーン”を演じ、常に死に方を探求する日々を送っていた。
そんな〈死体の人〉が、人生を変えられるような運命的な出会いを果たす。ある日、自宅に招いたデリヘル嬢・加奈(唐田えりか)との情事の後、彼は「ベタな質問で恐縮なんだけど……何でいまの仕事をしてるの?」と彼女に問いかける。それはそのまま〈死体の人〉にも跳ね返ってくる質問だった。「けっこう喜んでもらえるし、こんなことくらいでしか人を喜ばせられないから」と答える加奈に対して、「俺なんか誰も喜ばせられないよ……」と自嘲気味に〈死体の人〉は続ける。明るく振る舞う加奈だが、彼女もまた自身の人生に問題を抱えていた。
しかし、ある日唐突に〈死体の人〉の元に、母(烏丸せつこ)が入院するという報せが父(きたろう)から入る。気丈に振る舞う母だが、どうにも病状は良くないらしい。さらにそこに、新たな問題が発生。偶然見つけた妊娠検査薬を何気なく自分で試してみたところ、何と陽性反応が出たのだ。これはいったいどういうことなのだろうか……?
消えゆく命、そして、新たに生まれてくるかもしれない命──。〈死体の人〉こと役者・吉田広志は、一世一代の大芝居に打って出る。
『死体の人』(94分/シネマスコープ/5.1ch/PG12+)
監督:草苅勲
出演:奥野瑛太、唐田えりか、楽駆、田村健太郎、岩瀬亮、烏丸せつこ、きたろう
脚本:草苅勲・渋谷悠
宣伝用写真:草野庸子