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All The Streets Are Silent: ニューヨーク(1987-1997)、ヒップホップとスケートボードの融合 All the Streets Are Silent: The Convergence of Hip Hop and Skateboarding(1987-1997)

上映中~11月17日(木)※上映終了

©2021 Elkin Editions, LTD. All Rights Reserved.

日時

上映中~11月17日(木)※上映終了

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK京都会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINK京都ユース会員(22歳以下)いつでも¥900

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詳細 DETAIL

「あの頃のニューヨークが記録されて良かった。
もう戻ってこないから」

——ロザリオ・ドーソン

1990年代のニューヨーク。すべてはここから始まった。いまや世界を席巻するメインカルチャーにまで成長を遂げたヒップホップとスケートボード——当初は反目し合ってもいたふたつのストリートカルチャーが、やがて出会い、手を結び、爆発的な融合を果たす。音楽、ファッションなど、あらゆる若者文化を呑み込み、コアからマスへと拡大していった約10年間。この映画はそんな勃興と隆盛の記録と、巨大化の過程から生じた光と影の“現代史”を、貴重な映像と数々のキーパーソンたちの証言で振り返る傑作ドキュメンタリーである。

映画は1987年のNYCから始まる。いまや伝説のストリート・スケートの聖地として語り継がれるブルックリン・バンクス(09年に閉鎖)に集まってくるスケーターたち。そこには少数ながら黒人やラテン系の少年たちも居たが、当時のラップ界はスケーターを認めなかった。「白人の遊びだ」と。しかしスケボー少年たちはパンクと同じようにヒップホップを日常的に好んでいた――そんな時代である。

画期となったのがクラブ・マーズ(Club Mars)だ。日本人の創業者ユウキ・ワタナベにより、1988年12月31日にオープン。10番街ダウンタウンの荒んだ“悪所”だったが多種多様な客がパーティーに出入りし、DJを務めたのはのちに超大物として世界に名を轟かせるモービーやクラーク・ケントなど。「どんな音楽でもかける」この場所ではヒップホップとスケーターの距離も自然に縮まり、出自も人種もジャンルも問わない才能ある若者たちの交流場となった。デビュー前のジェイ・Zも姿を見せ、また“のちに映画スターになった用心棒”として、ヴィン・ディーゼルとベン・スティラーが居たという驚きのエピソードも!

この最先端の磁場となった人気ナイトクラブから、スケートブランドのズーヨーク(Zoo York)やシュプリーム(Supreme)の創設にもつながった。また著名な年長の写真家、ラリー・クラークが1995年に監督した映画『KIDS/キッズ』の大ヒットにより、現地でスカウトされたクロエ・セヴィニーやロザリオ・ドーソンらが俳優としてブレイク。地元きっての名物スケーター、ハロルド・ハンターも大役で出演したことで映画スター扱いされることに。そして史上初めてBGMにヒップホップを使用したスケートビデオのエポックな名作『Zoo York“Mixtape”』が発表される1997年まで――以上の約10年を現在の視座から総括していく内容だ。

他にも革新的なヒップホップグループ、デ・ラ・ソウルやウータン・クランらの衝撃のデビューや、コロンビア大学のブースから深夜に生放送していたアングラカルチャーラジオ“The Stretch Armstrong and Bobbito Show”(無名時代のバスタ・ライムスの貴重映像あり)、もちろんナズやノトーリアス・B.I.G.らの登場など、様々なトピックを絡めつつ、証言者にはSupremeブルックリン店店長も務めるジェファーソン・パンを始めとするプロスケーターの面々、キッド・カプリやRun-D.M.C.のダリル・マクダニエルズなど世界的なラッパー/DJたち、俳優のロザリオ・ドーソンといった当時のリアルを知る重要人物たちが大挙出演。アーカイヴ映像では様々な有名スケーターやラッパーのほか、『KIDS/キッズ』の脚本を務めた映画監督、ハーモニー・コリンの若き日の姿も見ることができる。
監督はジェレミー・エルキン。ナレーションはZoo York設立者の一人でもあるイーライ・モーガン・ゲスナーが務める。

本作を観ると、陽光降り注ぐ西海岸カリフォルニアのスケーターやヒップホップの文化とはまるで異なる、雑多な魅力と多様性に溢れた大都会ニューヨークならではの独特のスタイルが育まれたことがよくわかる。いまやそれは洗練と成熟を極め、グローバルな巨大規模の産業システムへと展開している。そのぶん高級化やセレブリティ主導の商業主義、ポーザー(格好だけのヤツ)の一般化など、保守化に呑み込まれたこともまた否めない。そんな中、ストリートカルチャーは今でも可能か? その初心や本質はどこへ行ったのか?――という問題提起を投げかける一本でもある。

【STORY】
スケートボードとヒップホップへの
愛が詰め込まれた作品。

世界で最も勢いのあるカルチャーを作り上げた不良たちの物語

無法地帯と呼ばれていた1987年のNYダウンタウン。そこには自分たちの遊び場所を求めて、ストリートにたむろするスケーターの不良少年たちが居た。彼らは88年、クラブ・マーズの開設により、それまで距離のあったヒップホップの連中とも積極的に関わっていく。この多種多様な交流の場をきっかけに、人気スケートブランドのズーヨークやシュプリームも立ち上がった。やがて95年、地元スケートキッズのリアルな生態を捉えた映画『KIDS/キッズ』が社会現象級の大ヒット。こうしてNY流儀のストリートカルチャーは一気に世界へと拡大するのだが……。

アップリンクによるストリーミング・マガジン【DICE+】にて『All The Streets Are Silent: ニューヨーク(1987-1997)、ヒップホップとスケートボードの融合』を紹介!
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『All The Streets Are Silent: ニューヨーク(1987-1997)、ヒップホップとスケートボードの融合』(2021年/アメリカ/89分)
監督:ジェレミー・エルキン
ナレーション:イーライ・ゲスナー
音楽:ラージ・プロフェッサー
製作総指揮:デヴィッド・コー
製作:デイナ・ブラウン、ジェレミー・エルキン
日本語字幕:安本 熙生
配給:REGENTS