あこがれ(短編)
ブリュッセル映画祭で最優秀監督賞を受賞した、
トリュフォーにとっての「真の初監督作」。
ベルナデット・ラフォンの映画デビュー作でもある。
習作短編『ある訪問』(54)に続く二本目の短編監督作だが、トリュフォー自身は本作を「真の初監督作」と呼んでいる。舞台となるのは南仏の田舎町。この町の小僧っ子たち(「小僧っ子たち」は本作の原題でもある)がひとりの若い娘にのぼせあがり、気を惹くために彼女とその恋人に悪戯を仕掛ける姿を描く。娘を演じるのはこの後ヌーヴェル・ヴァーグ映画を代表する女優の一人となるベルナデット・ラフォンで、恋人役は当時ラフォンの夫だったジェラール・ブランが演じている。撮影はラフォンの故郷でもあるニームで行われた。
『あこがれ(短編)』(1957年/フランス/モノクロ/18分/原題:Les Mistons/デジタルリマスター版)
監督・脚本・台詞:フランソワ・トリュフォー
原作:モーリス・ポンス
撮影:ジャン・マリージュ 音楽:モーリス・ル・ルー
出演:ベルナデッド・ラフォン、ジェラール・ブラン、現地の少年達
©1957 LES FILMS DU CARROSSE
私のように美しい娘
ベルナデット・ラフォンの陽気な人間的魅力が
遺憾なく引き出された、
男性社会に対する諷刺的視線を秘めた軽やかな犯罪喜劇。
アメリカ人作家ヘンリー・ファレルの同名犯罪小説を翻案した、軽快なタッチの諷刺喜劇。女性犯罪者をめぐる著作を準備中の若手社会学者が、殺人罪で服役中の娘カミーユへの取材を試みる。自らの半生をめぐるカミーユの談話を聞くうちに、学者は彼女に夢中になってしまい、その無実を証明しようとやっきになるが……男たちを手玉にとって生き延びる元気いっぱいのヒロインを、トリュフォーとの協働は最初期の短編『あこがれ』(57)以来となるラフォンが溌剌と演じた痛快篇。実は当初ヒロインをクロード・ジャドが、社会学者をトリュフォー自身が演じる予定だった。
『私のように美しい娘』(1972年/フランス/カラー/98分/原題:Une Belle Fille Comme Moi/デジタルリマスター版)
監督:フランソワ・トリュフォー
原作:ヘンリー・ファレル(Editions Gallimard)
脚色・台詞:ジャン=ルー・ダバディ、フランソワ・トリュフォー
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン 音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ベルナデット・ラフォン、クロード・ブラッスール、シャルル・デネル、
ギー・マルシャン、フィリップ・レオタール、ジルベルト・ジェニア、ガストン・ウヴラール、
アンドレ・デュソリエ、アンヌ・クレス
©1972 LES FILMS DU CARROSSE/SIMAR/COLUMBIA FILMS