アントワーヌとコレット〈二十歳の恋〉より(短編)
「アントワーヌ・ドワネルの冒険」第二弾として作られた短編。
思春期を迎えたドワネルの、
初恋から失恋へいたる悲喜こもごもが描かれる。
監督として石原慎太郎やアンジェイ・ワイダも参加した(人選にはトリュフォーの意見が反映されている)全五話からなるオムニバス映画『二十歳の恋』(62)の一挿話として製作された短編。連作「アントワーヌ・ドワネルもの」の二作目でもある。レコード製造会社に勤務し自活している17歳のドワネルが、古典音楽のコンサート会場で女子学生コレットに一目ぼれするも、彼女からは恋愛対象と見なされない悲喜劇。これまたトリュフォーの実体験に基づく物語で、「多くを求め過ぎるとすべてを失うことになりかねない」との教訓が込められている。
『アントワーヌとコレット〈二十歳の恋〉より(短編)』(1962年/フランス/モノクロ/30分/原題:Antoine et Colette /4Kデジタルリマスター版 ※当館は2K上映)
監督:フランソワ・トリュフォー 脚本・台詞・演出:フランソワ・トリュフォー
撮影:ラウル・クタール 音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ピエール・レオー、マリー=フランス・ビジエ、フランソワ・ダルボン、
パトリック・オーフェー、ジャン=フランソワ・アダム
©1962 LES FILMS DU CARROSSE
夜霧の恋人たち
「ドワネルの冒険」第三弾にして、同連作初のカラー映画。
語り口がより軽やかになり、
笑いの要素も強まって映画作家トリュフォーの成熟を感じさせる。
「ドワネルもの」三作目。20代前半になったドワネルは、兵役を終えてさまざまな職に就くが、次々にクビになってどれも長続きしない。他方で彼は恋人クリスチーヌとの愛を育んでいるのだが、雇用主の魅力的な細君にフラフラとよろめいてしまったり、危なっかしい。前二作以上に楽天性と喜劇色が強まり、演出にも余裕と円熟味が感じられる一篇。原題の「盗まれた接吻」は、本作の主題歌としても使われているシャルル・トレネの歌『残されし恋には』の一節から採られた文言。威信あるルイ・デリュック賞の最優秀作品賞を受賞した。
『夜霧の恋人たち』(1968年/フランス/カラー/91分/原題:Baisers Volés/4Kデジタルリマスター版 ※当館は2K上映)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本・台詞:フランソワ・トリュフォー、クロード・ド・シヴレー、ベルナール・ルヴォン
音楽:アントワーヌ・デュアメル 撮影:ドニ・クレルヴァル
出演:ジャン=ピエール・レオー、クロード・ジャド、デルフィーヌ・セイリグ、
ミシェル・ロンスダール、ハリー・マックス、アンドレ・ファルコン、ダニエル・セカルディ
©1968 LES FILMS DU CARROSSE/CONTACT EDITIONS/LES PRODUCTIONS ARTISTES ASSOCIES