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リフレクション【ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作品】 Reflection

上映中~7月28日(木)※上映終了

©Arsenal Films, ForeFilms

日時

上映中~7月28日(木)※上映終了

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK京都会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINK京都ユース会員(22歳以下)いつでも¥900/『アトランティス』半券割¥1,600円

詳細 DETAIL

現在も続くウクライナ侵略戦争を真正面から描いた、
今こそ見るべき物語
ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督、2作品同時・緊急劇場公開決定

敵の捕虜となった外科医の運命を、純真な少女の視点を交え、

驚くべきショットの連続で凝視した『リフレクション』の深遠さ

ロシアのクリミア半島侵攻、ドンバス紛争が始まった 2014年が背景の『リフレクション』は、思いがけない壮絶な運命をたどる外科医セルヒーが主人公だ。兵士たちの命を救いたい一心で従軍医師となった彼は、東部戦線で人民共和国軍の捕虜となり、拷問などの悪夢のような非人道的行為を経験。やがて捕虜交換によって首都キーウに帰還したセルヒーが、失われた日常を取り戻そうと苦闘する姿を、12歳の娘ポリーナ(演じるのは監督自身の娘ニカ・ミスリツカ)との触れ 合いを軸に見すえていく。
本作は対照的な2部構成になっている。主人公にトラウマをもたらす人民共和国軍の捕虜収容所での惨劇を描く前半は、おぞましい拷問や移動火葬車による遺体の焼却シーンを、感情を一切差し挟まない固定カメラで映像化。非戦闘地域のキーウに舞台が移る後半は一転、父娘が織りなす交流劇が象徴的な表現や隠喩を織り交ぜて展開していく。

前作『アトランティス』ですでに確立されたヴァシャノヴィチ監督の様式美はいっそう洗練され、緻密に設計された驚くべきアクション・ショット、窓や扉といったモチーフを多用したイメージに目を奪われる。とりわけ主人公の自宅マンションの窓にハトが激突し、その痕跡が残されるミステリアスなエピソードは、観る者に深い思考を促す。反射、鏡像といった意味を持つ『リフレクション』という題名にこめられたテーマとは何なのか。戦争と平和、生と死、肉体と魂、そして贖罪。深遠なる多義性に富んだ本作には、ヴァシャノヴィチ監督の並外れた才気が凝縮されている。
ちなみに先の2月のロシア侵攻以降、ヴァシャノヴィチ監督はカメラを携え、戦禍の現実を撮影していると伝えられている。彼の無事を祈らずにいられない。

【STORY】

ロシアがウクライナに侵攻し、 侵略戦争が始まった2014年。その年の11月、ウクライナの首都キーウで暮らす外科医セルヒー(ロマン・ルーツキー)が、12歳になった娘ポリーナ(ニカ・ミスリツカ)の誕生日を祝うためにサバイバルゲームの会場を訪れる。そこには別れた妻オルガ(ナディア・レフチェンコ)と、彼女の新たなパートナー、アンドリー(アンドリー・ルィマルーク)もいた。兵士のアンドリーは前線でロシア軍の攻撃に遭って死にかけたというが、「一週間休んで戦場に戻るよ」と事もなげに告げる。
キーウの街は平穏を保っているが、セルヒーが勤める病院にも東部戦線から次々と負傷兵が搬送されてきた。地雷の爆発で重傷を負った兵士を救えなかったセルヒーは空しさを覚える。後日、ドライブ・イン・シアターでポリーナからアンドリーが再び戦場に赴いたと聞かされたセルヒーは、「パパは行かないの?」と問われ、言葉に詰まってしまう。
その冬、従軍医師となったセルヒーは、戦場での移動中に道に迷って人民共和国軍の検問所にさまよい込む。車を運転していた同僚は銃殺され、セルヒーは捕虜となった。
捕虜収容所ではウクライナ兵への非人道的な拷問が行われていた。セルヒーが外科医だと知った収容所の所長は、血まみれでぐったりした兵士の死亡確認を命じる。この世の地獄を見たセルヒーは、独房で自殺を試みるが死にきれない。そんなセルヒーの前に、捕虜となったアンドリーが連行されてきた。惨たらしい拷問で虫の息となったアンドリーを極限の苦しみから解き放つため、セルヒーは彼の首を絞めて絶命させた。そしてウクライナ兵の遺体を処分する移動火葬車の 運転手に取引を持ちかけ、アンドリーの遺体をこっそり市外に運び出してもらう。
やがて捕虜交換によってキーウに帰還したセルヒーは、戦場で消息不明となったアンドリーの身を案じるオルガとポリーナと対面するが、残酷な真実を告げることができない。その後、セルヒーはアンドリーの不在を寂しがるポリーナを慰めるため、彼女と共に過ごすようになる。マンションの壁に激突して墜落したハトを荼毘に付しながら“死”について語って聞かせ、ポリーナが生前のアンドリーと交わした約束をひとつずつ叶えてやろうとする。それはセルヒーにとっても、失われた日常を取り戻すためのかけがえのない時間だった。そんなある日、アンドリーの遺体が発見されたとの知らせが届く……。

『リフレクション』(2021年/ウクライナ映画/ウクライナ語・ロシア語/126分/シネスコ/デジタル/5.1ch/原題:ВВідблиск/英題: Reflection)
監督・脚本・撮影・編集・製作:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
出演:ロマン・ルーツキー、アンドリー・ルィマルーク、ニカ・ミスリツカ
日本語字幕:額賀深雪
字幕監修:梶山祐治
協力:ウクライナ映画人支援上映有志の会
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム