今回で製作総指揮を担当しているのが、ザ・バンドの解散コンサートとらえた傑作『ラスト・ワルツ』のマーティン・スコセッシ監督。彼はコメンテイターとしても出演している。ロックに深い見識を持つ彼は原作となった自伝を「追憶と驚異の書」と呼び、絶賛している。映画には『ラスト・ワルツ』の映像もドラマティックに登場し、バンド解散前の危うい状況が見る人の胸を打つ。監督はカナダのドキュメンタリー畑の出身で、製作時に26歳だったダニエル・ロアー。彼は両親の影響でザ・バンドの音楽に興味を持ち、10代の時に『ラスト・ワルツ』に出会って、彼らのミュージシャン魂にほれ込んだという。若い世代が撮ることで、映画に新鮮で、みずみずしい感覚が生まれている。また、製作会社としてかかわっているのが、ロン・ハワード率いるイマジン・エンタテインメント。近年はドキュメンタリー作りにも力を入れており、ハワード自身も『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK-The Touring Years』(16)等の音楽ドキュメンタリーを監督している。アメリカ映画界のベテランたちと若いカナダの新鋭監督が組むことで世代を超えて心に響く作品となっている。
『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』(2019年/カナダ、アメリカ/英語/カラー・モノクロ/アメリカンビスタ/5.1ch/101分/原題:ONCE WERE BROTHERS:ROBBIE ROBERTSON AND THE BAND)
監督:ダニエル・ロアー
製作総指揮:マーティン・スコセッシ、ロン・ハワード
原案:「ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春」(ロビー・ロバートソン著、奥田祐士訳、DU BOOKS刊)
出演:ザ・バンド<ロビー・ロバートソン、リック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、ガース・ハドソン、リチャード・マニュエル>、マーティン・スコセッシ、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、エリック・クラプトン、ロニー・ホーキンス、ヴァン・モリソン、ピーター・ガブリエル、タジ・マハール、ジョージ・ハリスン
後援:カナダ大使館
字幕翻訳:菊地浩司
字幕監修:萩原健太
配給:彩プロ
宣伝:プレイタイム、スリーピン